えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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LFJ2007 樫本大進/小菅優/佐藤俊介/N.バルデル シマノフスキ/ミヨー

今日の2本目は日本とフランスの若手による室内楽。日仏の若者4人によるシマノフスキとミヨーを楽しみに、エベーヌSQのフォーレに引き続いてホールD7で。
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007 ~民族のハーモニー~ No.152

1.シマノフスキ「神話-3つの詩」 作品30 より
ドリアードと牧神
2.ミヨー2つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ 作品15
3.ミヨーピアノ、ヴァイオリンとクラリネットのための組曲 作品157b
(劇音楽「荷物を持たぬ旅行者」 作品157a より)

ヴァイオリン樫本大進
佐藤俊介(2)
ピアノ小菅優
クラリネットニコラ・バルデル(3)

2007年5月2日 15:30 東京国際フォーラム ホールD7 イプセン
まずは樫本大進と小菅優のデュオによるシマノフスキの「ドリアードと牧神」から。幾分東洋風でもある独特の雰囲気を持つ曲で、ヴァイオリンそしてピアノ双方に高度な技巧が要求される曲ですね。実直に真正面から作品に迫る樫本、踏み込みの良い表現を武器に鮮やかに曲を弾きこなす小菅。そんな両者の個性が作り出すのはメリハリの良く効いた恋の情景。ただ、もう少し幻想的な雰囲気が出ても良かったかもしれません。樫本は数年前より表現の幅が広がってきましたが、この曲では中高音の艶っぽさがもう少しほしい。ハーモニクスで笛の音をあらわす部分では、ホールのアコースティックの助けがないので厳しいところではありますが・・・。小菅のピアノはちょっと音色がくっきりとしすぎるきらいが(もちろん、それが長所なのですが)無きにしも非ず。でも、今の二人らしい演奏で十分楽しめました。

続いて樫本と小菅の二人に佐藤俊介が加わって演奏されたのは、ミヨーの2つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ。ヴァイオリンの立ち位置は左に樫本、右に佐藤。シマノフスキの幻想的な雰囲気とはがらっと違い、明るい雰囲気はやはりミヨーですね。ここでは小菅優のピアノが彼女の個性を十二分に発揮して演奏を牽引。明るい輝きをベースに、音の色合いを場面に応じて的確に変化させながら、リズミカルな躍動感が楽しい。弾いている彼女の表情も実に楽しげ。ヴァイオリンの二人はもう少し音色が溶け合うと良かった部分もありますが、曲の個性を的確に伝える好演。第2楽章、弱音器を付け繊細に絡む二人の音の綾がとても美しかったと思います。この曲、終楽章が静かに終わっちゃうのは面白いですね。

最後は樫本、小菅そしてクラリネットにニコラ・バルデルを加えたトリオ。立ち位置は前曲の佐藤の位置にバルデル。この曲は劇音楽として作られた「荷物を持たぬ旅行者」から編まれた作品。いやはや、これは文句なく楽しいですなあ(笑)。前曲に続いて小菅のピアノはノリノリの躍動感、樫本も音の艶も出ているし遊び心も十分、明るい音色のバルデルのクラリネットも生き生きとしている。3人が本当にアンサンブルを楽しんでいる様子がこちらにも伝わってくる演奏でした。
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