「民族のハーモニー」をテーマに掲げた今年のラ・フォル・ジュルネ、いよいよ今日の午後から演奏会がスタートします。josquinの選んだ1本目は、昨年のLFJで出会った生きの良い若者達が奏でるフランスの作品。まずはベテラン・ピアニストのペネティエを迎えたエベーヌSQのフォーレを楽しみに、エレベータで6階まで上がってホールD7へ。
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007 ~民族のハーモニー~ No.151
1. | フォーレ | : | ピアノ四重奏曲第1番 ハ短調 作品15 |
2. | フォーレ | : | 弦楽四重奏曲第1番 ホ短調 作品121 |
エベーヌ弦楽四重奏団 |
第1ヴァイオリン | : | ピエール・コロンベ |
第2ヴァイオリン | : | ガブリエル・ル・マガデュール(2) |
ヴィオラ | : | マチュー・エルゾグ |
チェロ | : | ラファエル・メルラン |
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2007年5月2日 13:30 東京国際フォーラム ホールD7 イプセン
まずはフォーレが比較的初期に作曲したピアノ四重奏曲から。ピアノのペネティエをバックに、第2ヴァイオリンを欠いたエベーヌSQのメンバの並びはVn-Va-Vc。若いエベーヌSQメンバとベテラン・ペネティエがっぷり四つに組んだ演奏。フォーレの描く情熱的な両端楽章は若々しい熱気に溢れていながら、しなやかな表現もなかなかのもの。第2楽章のリズミカルな動きも、メンバの当意即妙な掛け合いで面白さ満点。中間部のメロディーのパート間の受け渡しもスムースで、その端々に滲むさりげなくセンスの良い歌いまわしは憎いねえ(笑)。第3楽章の内省的で情感の深く込められた歌はこの演奏の白眉。楽章冒頭でピアノ→チェロ→ヴィオラ→ヴァイオリンと出てくるところを筆頭に、何度かぐっときそうになってしまいました(^^♪。憂いを帯びた音色と闊達なアンサンブルで演奏していたエベーヌSQメンバはもとより、彼らを終始美しいまろやかな音色で支え先導したペネティエの果たした役割は大きかった。この曲の各楽章の個性を明確に描いた、本当に見事な演奏だったと思います。
続いてはエベーヌSQのメンバが4人揃って、フォーレ最後の作品となった弦楽四重奏曲。メンバの並びはVn-2Vn-Va-Vc。ピアノ四重奏曲の第3楽章が良かったので、大いに期待して聞いたのですが・・・。まだ若い彼らには荷が重かったかなあというのが正直なところ。もちろん彼らのアンサンブルはそんじょそこらのクァルテットよりも抜群に巧いし、よく弾けてるのは間違いないんですね。でも、それがこの作品の内面の充実、心の琴線に触れるところまでは音楽が深まっていない感じがしてなりませんでした。そうだなあ、彼らの10~20年後にまた聞いてみたいなあと思います。
今回のLFJではエベーヌSQの演奏、バルトークとドヴォルザーク(with仲道郁代)を聞く予定です。特に、バルトークでは快演を期待したいものです。
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