H-M.シュナイト/神奈川フィル&合唱団 定期演奏会 ブラームス:ドイツ・レクイエム
このところ密接な関係を保っていたマエストロの音楽監督就任が発表されたのは昨年末のこと。今日はさしずめ音楽監督就任発表披露演奏会というところでしょうか。今日はシュナイト/神奈川フィルによるブラームスのドイツ・レクイエムを楽しみにみなとみらいへ。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団みなとみらい駅から長いエスカレータを上がってホールロビーへ。当日券を購入してから腹ごしらえをしている途中で、そういえばロビーコンサートがあったんじゃないかと思い出したけどもう後の祭り(笑)。再び、ホールへ足を踏み入れ1階席後方ロビーへ上がると丁度終わったところで、ピアスのコンサートマスターが引き上げるところでした(笑)。
第232回定期演奏会『ブラームスの「祈り」』
・ ブラームス : ドイツ・レクイエム 作品45
ソプラノ : 澤畑恵美 バリトン : 福島明也
ハンス=マルティン・シュナイト指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 (ソロ・コンサートマスター:石田泰尚) 神奈川フィル合唱団 (合唱指揮:近藤政伸)
2007年1月21日 14:00 横浜みなとみらいホール 大ホール
ホール内に入って舞台を眺めると、いつものように椅子が乗せられた指揮台の下には山台が1段挟まれています。椅子に座って指揮を執るシュナイトの棒を合唱団が見やすくするためでしょう。今日のオーケストラの弦楽セクションの並びは1Vn-2Vn-Vc-Va/Cb右で、その編成は11-10-8-6-5。ソリストは指揮台の左に澤畑恵美、右に福島明也が座り、合唱団は舞台後方にSTABの順で並んでいます。ぱっと見たところ女声が男声の倍以上の人数比なのがちょっと気になります・・・。
コントラバスが鼓動のようなリズムを刻むなか、ヴィオラとチェロがおずおずと旋律を奏ではじめて合唱が"Selig Sind"と歌い始める。シュナイトのタクトが示すのは敬虔でぶれのないまっすぐな祈り。その祈りと同化したようなまっすぐな音楽の流れと、ひとつひとつの言葉とフレーズを朴訥に語るシュナイト。そんな奇を衒わないシュナイトのアプローチをオーケストラと合唱が一体となって「ブラームスの「祈り」」を表現した演奏ではなかったかと思います。
そんな演奏を底辺から支えたのは神奈川フィルの弦楽と木管セクションの充実。暖かくかつしっかりとした存在感で全体を支える中低弦、繊細な美しさが際立っていた高弦、そこに瑞々しさを湛えながら溶け込む木管。緊張感を保ちながらひたひたと歩むシュナイトの音楽を少しもスポイルすることはありません。欲を言えば、金管に発音の安定性と音色への配慮を求めたいところですが、アンサンブルの好調さとシュナイトとの一体感は素晴らしかったと思います。
神奈川フィル合唱団のコーラスは大健闘といって良いでしょう。技術的にはソプラノを中心にピッチが不安定になったり声が汚くなってしまったところも散見されましたが、シュナイトのブラームスに共感して歌っているのが良くわかるのが良いところ。女声と男声の極端な人数比も男声が中心になる部分以外は巧くバランスが取れていましたし、下三声がしっかりとしたハーモニーで支えていたのが心強い。難易度の高いソプラノがぶれても全体としてはしっかりとしてのは下三声の安定感ゆえでしょう。
バリトンの福島明也はシュナイトの語るようなアプローチとの合口が悪かったかもしれません。歌詞を語れば語るほど、彼の明るい伸びやかな歌声が窮屈になっていたように思います。逆に、ソプラノの澤畑恵美は落ち着いた歌声と抑制された表現で、シュナイトの意を汲んだ美しい歌を披露してくれました。
終曲の最後の音が消え去った後の(一瞬、危なかったけど)長い静寂は格別でしたね。(合唱を中心にして)技術的に優れた演奏は他に聴けるかもしれません。でも、指揮者の音楽への深い共感という意味ではとても優れた演奏だったように思います。
Comments
シュナイトのレクイエムは心の奥を揺さぶり、そうして安らかな気持ちにさせてくれる演奏でした。 オケも弦は美しかったですし、木管は豊かな響きで魅了してくれました。
澤畑さんの歌声美しかったですね! 以前聞いた時も思ったのですが変わらなく見事でした。
合唱はもう少しと言う所もありますが、前よりは上手になりました~。
来年の3月のブルックナーは平松さんと福井さんも登場しますので、また聴きにいらしてくださいね! 平松さんのアリアは秀逸ですよ!
来年3月の定期は垂涎のプログラムですね。ブルックナーのミサ曲を生で聞ける機会は少ないですし。
来季は全公演みなとみらいになったのは良いのですが・・・、金曜日公演なのがちょっと辛いですね(^_^;)。
とりあえず来月は紅葉坂かな(^^♪。