えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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川本嘉子/上杉春雄 リクライニング・コンサート エネスコ/ヒンデミット/シューベルト

今日は16時から某バロックオペラを楽しむ予定なのですが、その前に何かないかなあと(←重病)と探してみたところ目に留まったのがこのコンサート。今朝ホールに電話してみると「リクライニングシートでなければ残席有ります」とのこと。終演後、次の会場へはゆっくり歩いて行け無問題なので、「1枚お願いします」と(笑)。今日はまず川本嘉子と上杉春雄のデュオを楽しみにまずは代々木公園へ。
2006/2007 リクライニング・コンサート・シリーズ
第32回 ヴィオラの日

1.エネスコ演奏会用小品
2.シューベルトアルペッジョーネ・ソナタ イ短調 D.821
3.ヒンデミットヴィオラ・ソナタ へ調 作品11-4
‐アンコール‐
4.ポンセエストレリータ

ヴィオラ川本嘉子
ピアノ上杉春雄

2006年11月4日 14:00 Hakuju Hall
予約したチケットをロビーで受け取り、コーヒーを飲んでからG列の自席へ。ロビーには曲順変更の掲示があり、ヒンデミット→シューベルトと発表されていた曲順をシューベルト→ヒンデミットの順で演奏するとのこと。開演直前にステージ奥の壁にホール主催コンサートの宣伝が投影されます。今までこんなことしてましたっけこのホール?なんだか、映画の本編開始前みたいな感じ・・・(笑)。

プロフィール写真の笑顔のメージそのままな川本嘉子と上杉春雄が登場し、まずはエネスコの演奏会用小品から。オーケストラの一員(元都響首席、SKO等)や室内楽(アルティQ等)では何度も接している、川本嘉子のソロを聞くのは今日がはじめてかもしれません。背伸びしない自然で大きなスケール感、そのスケールの大きさに相応しい思い切りの良い表現が魅力でしょうか。比較的パリッとした音色を用いた歯切れの良さと、民族的な歌いまわしの味わいを両立した演奏。細かなミスを厭わずに前へと進んでいくところはとても好感が持てます。1曲目故でしょうか、若干音楽の密度が薄くなる場面があったのが少し惜しかったかなあ。上杉春雄のピアノもやや音が飽和して聞こえました。

1曲目が終わって二人がマイクを持って、神経内科医でもあるピアニスト上杉春雄の紹介やプログラムの紹介を少々。今日のプログラムはCDを1枚作るとという観点で組まれたとのこと。意図したことかは定かではありませんが、二人のトークが見事にボケとツッコミの関係になっていて面白かったです(どちらがどうだったかはご想像にお任せします、笑)。

2曲目は川本嘉子が「原曲は(ヴィオラの持つ)音域より広いので、音楽性で補わないと。」と語っていたシューベルトのアルペジョーネソナタ。エネスコとは対照的なまろやかな音色でスケール豊かに歌う演奏で、大きな流れで安心して身を任せることが出来ます。特に、第2楽章は上杉春雄の繊細なタッチによる支えと川本の紡ぐ歌が美しい限り。終楽章は彼女の思い切りの良さが良い方向に作用していました。

最後は「ヴァイオリンからヴィオラに転向してから勉強した作曲家です」と川本嘉子が話していた、ヒンデミットのヴィオラ・ソナタ。シューベルトと曲順を入れ替えたのも頷ける充実した演奏で、今日一番の出来栄え。シューベルトよりも音色、表現共によく練られておりホールの音響を掴んだのか締まった音で弾くピアノの上杉春雄との息もピッタリ。繊細な部分でも失われないスケール感とやや硬派なロマンティシズム、そして思い切りの良い表現が相まって見事な演奏に仕上がっていました。ヒンデミットの書いた他のヴィオラ作品も彼女の演奏で聞いてみたいものです。

アンコールはポンセのエストレリータ、まろやかな音色でしっとりと聞かせてくれました。

白寿ホールのこのシリーズ、今度は是非リクライニングシートで聞いてみたいですね。あまりに心地良い演奏だと、寝てしまわないかという心配はありますが・・・。
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