キャンディード
バーンスタイン:キャンディード
キャンディード:中川晃教
クネゴンデ:幸田浩子
パングロス:岡幸二郎
パケット:宮本裕子
マキシミリアン:新納慎也
カカンボ:坂元健児
ジェイムズ/マーティン:佐山陽規
総督:市川和彦
オールド・レディ:郡愛子
ヴォルテール:辰巳琢郎
指揮:デイヴィッド・チャールズ・アベル
演出:宮本亜門
翻訳:松岡和子
訳詞/台本:橋本邦彦
2004年4月30日 19:00 東京国際フォーラム ホールC
普段クラシックのコンサート&オペラにしか足を運ばない人間に、初めてミュージカルに足を運ぼうと思いたたせたある歌手というのはクネゴンデ役の幸田浩子。昨年夏のリサイタルで、1幕の「着飾って、きらびやかに」を見事に歌っていたのを聞いていたから。オペレッタでもこれほど動きの多い演出はないだろうけども、その宮本亜門演出の動き表情豊かにをこなしたうえで、歌も変に崩さずに正統的に歌っていて見事でした。
ところで、オペラ好きな人間がみてどう思ったかというと下手なオペラ(オペレッタ)上演よりずっと面白いですね。全体の完成度が非常に高いのに感心。人を飽きさせることのない宮本亜門の演出、非クラシカル系おの俳優達もなかなか歌えているし。オケにしてもコーラスにしてもなかなかの水準。このレベルの上演ならたまには言ってもいいかなあと。
「たまには」と言った理由はやっぱり耳が疲れるんです。生のオーケストラの大音量なんかだと、全然平気なのですが、PAを2〜3時間続けて聞くとやっぱり疲れます。今日の上演だったらもう少し音量控えめでも充分だと思ったりするのですが・・・(ちなみに、3階席で見ました)。
宮本亜門の演出は荒唐無稽にめまぐるしく変化するストーリーをあきさせることなくうまく見せていたと思います。舞台装置はずっと共通(この作品の場合、場面転換は無理ですよね)でいろんな道具やら人の動きやら照明やらで場面をうまく描写していました。最後のシリアスな場面を余計な事をせずにオーソドックスに見せていたのが良かった。
キャンディード役の中川晃教、せりふはいいのだけれど歌い口がややいやらしいかなあ。もっとストレートに歌ったほうが私の好みだったかも、もっともこういうのが持ち味な人なのかもしれませんが。
日本語訳の歌詞は良く考えられていたと思います。何箇所かどうにかならないかなあというところはありましたが・・・。例えば、「ことば、ことば、・・・」ってそのままやん(難しいのはわかってますが・・・)。
指揮をしていたチャールズ・アベル、きびきびと全体を小気味良くまとめていて好感がもてました。
クラシカル系の歌手と非クラシカル系の歌手。デュエットとかになるとやはり声質が合わないですね。溶け合ったハーモニーを求めるのは高望みでしょうか。バーンスタインの作った音楽の微妙なニュアンスを含んだ、繊細な味わいは(PA利用ということも含めて)薄まってしまったのは残念です。
でも、なんだかんだ書いてますが結構楽しみましたよ。センスのいい若手のクラシカル系の歌手を揃えて演奏会形式でもいいから、PAなしでの上演を聞きたいという思いも募ってしまいましたが(笑)。東フィルのオペラ・コンチェルタンテが休止中なので、東京室内歌劇場とかで企画してくれないかなあ・・・。バーンスタインの書いた、ミュージカルの枠を超えた素晴らしい音楽を余すところなく堪能するために・・・。
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