S.スクロヴァチェフスキ/N響 C定期 ブルックナー:交響曲第8番
先々週の日曜日にシューベルトとモーツァルトを聞いたこの組み合わせ。ブルックナーの交響曲第7番が演奏された、先週のオーチャード定期は有楽町入り浸りのため聞けませんでした^^;。今日はミスターSとN響のブル8を楽しみに明治神宮前へ。
NHK交響楽団 第1569回定期公演 Cプログラム今日は家を出るのが遅れたため、「開演前の室内楽」は聞くことが叶わず。先々週とは曲目は一緒ですが、演奏メンバが一人異なっていた筈です。
・ ブルックナー : 交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版/1890年)
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮 NHK交響楽団 (コンサートマスター:篠崎史紀)
2006年5月13日 15:00 NHKホール
舞台上に揃ったN響、弦は16型で1Vn-2Vn-Vc-Va/Cb右の並び。最近ヴィオラを外側にする配置に戻った様子。ハープは3人で木管も各パート3人ずつ。金管はホルン(1アシ付き)とワーグナーチューバが左トランペット中央、トロンボーンとチューバが右に並んでいました。
第1楽章が始まってから第2楽章前半くらいまで、この先どうなることやらと思いました正直。明らかにマエストロとオーケストラの息が合ってない。フレーズの入りは揃わないし、場面転換もなんだかギクシャクとして落ち着かない。各パートをくっきりと聞かせるミスターSのやり方故か、小さなミスがいつもより目立って聞こえしまう・・・。
そんな、両者が息のあった音楽を奏ではじめたのは第2楽章後半から。僅かな傷や齟齬は皆無ではありませんが、こうなればあとはミスターSの世界。中低弦の刻むリズムがあるときは心臓の鼓動のように脈打ち、またあるときは楔のように打ち込まれその雄弁なこと。第3楽章はN響の弦の美点を最大限に発揮させた歌の美しさ。そして終楽章は各パートのバランスを緻密にとって構築された壮大な音の伽藍が、巨大なNHKホールいっぱいに鳴り響くさま。ミスターSの聞き応え十分のブルックナーを堪能。これで冒頭の噛み合わせの悪さが改善され、良いホールだったら(ミューザ川崎なんかどうだろう?)・・・、なんて思うのは私だけでしょうか。
今日のスクロヴァチェフスキとN響のブルックナー、緻密に構築された音楽が見事に鳴り響く程にヒロイックではない人間臭さを感じずにはいられませんでした。ブルックナーの音楽に良く言われる「敬虔な祈り」ではなく、骨太に生きる「不器用な人間(または男)」の生き様。それはスクロヴァチェフスキ本人なのか、それとも作曲家ブルックナーなのか、それとも・・・。
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