えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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児玉桃/P.ハルフター/新日本フィル トリフォニー定期 アルベニス/プーランク/プロコフィエフ

プロコフィエフの交響曲は第1番と第5番以外の演奏機会が極端に少ない。今日演奏される第3番もそのひとつ。josquinも2002年11月に横浜でゲルギエフ/キーロフ歌劇場管の来日公演で接したのが唯一の生演奏体験。今日は1971年マドリッド生まれたのペドロ・ハルフターと新日本フィルが演奏するこの曲を楽しみに錦糸町へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 トリフォニー・シリーズ 第398回定期演奏会

1.アルベニス組曲「イベリア」 より 港
(エンリケ・フェルナンデス・アルボス編)
2.プーランクピアノ協奏曲
3.プロコフィエフ交響曲第3番ハ短調 作品44

ピアノ児玉桃(2)

ペドロ・ハルフター指揮新日本フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:崔文洙)

2006年3月17日 19:15 すみだトリフォニーホール 大ホール
今日の新日本フィル、弦楽は1Vn-2Vn-Va-Vc/Cb右の並び。各パートの人数はアルベニスとプロコフィエフが16型、プーランクが12型。

まず最初はアルベニスの超絶技巧で有名なピアノ作品「イベリア」を、作曲家没後に指揮者エンリケ・フェルナンデス・アルボスが編曲した「港」。華やかで色彩豊かというよりは肉感的で逞しいサウンドイメージと、弛緩のない流れの良さで祭りの活気を伝えた好演。どちらかというと華やかな曲調の前半よりも、静かな後半に色彩の豊かさを感じるのが面白いところ。

2曲目は児玉桃をソリストに迎えたプーランクのピアノ協奏曲。ピアノよりもオケが主役みたいな性格を持つ曲の性格を汲んでのことでしょうか、ピアノとオーケストラの「競演」というよりは「協演」といった言葉が似合う演奏。第1楽章の軽妙なピアノとオーケストラの掛け合いの楽しさ、第2楽章での美しい弦を彩るピアノの高音の輝き、そして再び驟雨楽章はピアノとオーケストラが軽妙洒脱に戯れるようで終結もチャーミングに決まってました。josquin的には華やかな曲調の中でも、第1楽章でプーランクの宗教合唱曲(スターバトマーテル等)に通じるような鮮烈さと苦みばしった響きが織り込まれているのが印象的でありました。

プログラム後半はプロコフィエフのオペラ「炎の天使」を題材にして作られた交響曲第3番。前半のアルベニスとプーランクで、オーケストラの各パートをクリアに聞かせるというよりは、全体の収斂に意を置いているように感じられたハルフター。そんな彼の持ち味がこのプロコフィエフの演奏に発揮されていたように思います。凝縮感と逞しさを併せ持ったサウンドと、終始保たれる緊張感の持続。ただ単に騒々しいだけになりがちなこの曲を堅牢な骨組みを構築し、引き締まった造形で見事に捌いておりました。むろんあちらこちらにある刺激的な響きをスポイルすることは無く、第2楽章等で聞かれる魅惑的な美しい響き(第2楽章、柔らかい弦とトランペットの作り出す響きは絶品)に代表される多彩な響きの美しさにも十分な配慮がなされている。人によてはもっと刺激を望む向きもあるかもしれませんが、全体のバランスがよく取れた好演だっと思います。

このハルフターという指揮者、どちらかというと出身の西欧・南欧系の作曲家よりも、東欧・ロシア系の作曲家の作品のほうが持ち味を発揮する指揮者でないかと思った次第。また、来日の機会があれば聞いてみたいと思います。
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