えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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M.ボーダー/新日本フィル サントリー定期 ワーグナー/ブルックナー

先週のトリフォニー定期でブラームスのドイツ・レクイエムを聞かせてくれたボーダーと新日本フィル。今日はブルックナーの第3交響曲を中心に据えたプログラム。前半のパルジファルからの音楽も楽しみにしつつ六本木一丁目へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 サントリーホール・シリーズ 第392回定期演奏会

1.ワーグナー舞台神聖祭典劇「パルジファル」 から 「前奏曲」と「聖金曜日の音楽」
2.ブルックナー交響曲第3番ニ短調
(第3稿 1889年 ノーヴァク版)

ミヒャエル・ボーダー指揮新日本フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:崔文洙)

2005年10月27日 19:15 サントリーホール 大ホール
先週のドイツ・レクイエムではヴァイオリン対向配置で演奏していたボーダー/NJP。今日はチェロを外側にした通常配置をとり、弦は16型の編成。

プログラムの前半はパルジファルの前奏曲と聖金曜日の音楽。ひとつひとつの拍を休符も含めて丹念に振り、緊張感を保持しながら粛々と音楽を進めていくボーダー。前奏曲冒頭の弦の艶が魅力的でしたし、全体のバランスを丁寧にとり弦がスポイルされることのないまろやかな響きを実現。緻密なバランスを取らねばならない故か、前奏曲では管楽器の音の出がバラけるところもありましたが徐々に回復。聖金曜日の音楽では古部賢一のオーボエ、山本正治のクラリネットの全体に溶け合いながらもしっかりと存在を主張する素晴らしいソロと相まって見事な演奏に仕上がっていました。

後半は、「ワーグナー」の渾名を持つブルックナーの第3交響曲。私の記憶が確かなら、演奏会でこの曲の第3稿を聞くのはこれがはじめて。第1稿は大分前にブロムシュテット/N響で接したことがあるのですが・・・(笑)。この第3稿に示された1889年という年代が示すとおり、ブルックナーは後期の交響曲を作曲していた時期と重なります。ボーダーのアプローチはそこに焦点を当てていたように思います。前半同様に緻密かつ繊細に組み立てた強奏でも弦が覆われることのないバランスの取れたまろやかな響き。まったくと言っていいほど刺激的な印象がないのに感心。全曲通して第7交響曲の前半2楽章を聞いているイメージの演奏。でも何か物足りないような気がするのは、ブルックナーらしい野趣が薄いからでしょう。また、クライマックスまでの設計は見事なのに頂点に達したとたんあっさりとした歩みになってしまうところにも要因があるような気がします。しかしながら、全体の均整が良く取れた美しい第3交響曲の演奏だったと思います。
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