東京オペラプロデュース カプリッチョ Bキャスト
東京オペラプロデュース 第70回定期公演
R.シュトラウス:歌劇「カプリッチョ」
伯爵夫人(若い未亡人):菊地美奈
伯爵(伯爵夫人の兄):小林由樹
フラマン(音楽家):羽山晃生
オリヴィエ(詩人):田代和久
ラ・ローシュ(劇場支配人):山口俊彦
クレーロン(女 優):橋本恵子
イタリアのソプラノ歌手:工藤志州
イタリアのテノール歌手:石川誠二
家令:小野和彦
トープ(プロンプター):白井和之
8人の召使:木幡雅志 / 志村糧一 / 曽我雄一 / 中村元信 / 一戸貴広 / 大野隆 / 岡戸淳 / 笹倉直也
松岡究指揮 東京ユニバーサルフィルハーモニー管弦楽団
演出:松尾洋
2004年3月20日 15:00 なかのZERO 大ホール
今年はリヒャルト好きにはたまらない年と言えそうです。二期会のヘレナに始まり、新国のサロメ、カプリッチョ、新日本フィルのサロメ、夏の東京室内のインテルメッツォ、そして秋の新国のエレクトラ。去年の二期会のバラも加えると壮観。それだけ上演できる環境が整ってきたということでしょうか。
カプリッチョはCDを所有していなくて、なんの準備もしないまま挑みましたが美しいオペラですね。ああでもないこうでもないというやりとりはアリアドネのプロローグを拡大したような筋。音楽もサロメとかの狂気系ではないアリアドネ系のシンプルで美しい曲ですね。結論のでない二者択一。掘り下げると深いものがありそうですね。
で。今日の上演はどうだったか。なかなかよくまとまった好演だったように感じました。
歌手たちはそれほど図抜けた人はいないものの、水準は保たれていました。それがかえってバランスの取れたアンサンブルにつながっていたのではないでしょうか。ただ、言葉の処理とかは全体的にもう一段上を望みたいなあと思いました。
重唱のアンサンブルも良かったのですが、特に、論争シーンのアンサンブルはオケともども素晴らしかった。
松岡究の指揮するオケも前回の当惑した家庭教師の出来からすると結構不安だったのですが、今回はシュトラウスのサウンド感がよく出ていて安心して聞くことができました。全体としては上出来といえるでしょう。でも、個々には弦のソロや木管(特にオーボエ系)のソロに一層の技量があると良かったと思います。
松尾洋の演出は安心して音楽を聴くことのできるオーソドックスなものでした。
以下、いろいろと独り言。
ところどころある論争シーンはなんだかサロメの論争シーンを思い出しました。こういうのを書かせると本当にうまいですねリヒャルトは。どういう頭の構造してるんだろ・・・。
単体でも聞かれることの多い月光の曲。そうかこういう風に終景つながっているんですねえ。これは単体で聞くよりずっと印象的。
イタリア人歌手のカリカチュアには笑いました。あそこまで強調せんでも・・・。バラのテノール歌手みたいなイメージかと思いましたが、それよりも重要な役割を担っているんですね。第9景で回りでワーワーやっている最中に女性歌手がすっかりよっぱらっていたりして、いろんなことが並行的に盛り込まれているのにはほとほと感心しました。
やはりリヒャルトのオペラはいろんなことを知れば知るほど理解が深まるんだなあと実感。2回しか上演がないのが誠に残念。今度はいつだろうか・・・。
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