プレトニョフ/東京フィル サントリー定期 ベートーヴェン:交響曲第5番
東京フィルハーモニー交響楽団 第711回定期演奏会 サントリー定期シリーズ前半のプログラムはシベリウスの「レミンケイネンの帰郷」とアンスネスを迎えたラフマニノフの協奏曲第2番。ホールへ到着するとモニターから流れるのはラフマニノフの終楽章。盛大な拍手に応えたアンスネスのアンコール聞くことができました。
アンコール 3. リスト : 即興円舞曲 S.213 -休憩- 4. ベートーヴェン : 交響曲第5番ハ短調 作品67
ピアノ : レイフ・オヴェ・アンスネス(3)
ミハイル・プレトニョフ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団(4) (コンサートマスター:荒井英治)
2005年9月16日 19:00 サントリーホール 大ホール
アンコールはリストの即興のワルツ。揺れ動くワルツのリズムに乗って、アンスネスの研ぎ澄まされた音達が生き生きときらめく。センスの良い遊び心と相まったチャーミングで楽しい演奏でした。今日聞けなかったアンスネスのラフマニノフは、明後日オーチャードホールで(笑)。
さて後半はベートーヴェンの交響曲第5番「運命」。オーケストラはヴィオラ外側の通常配置、弦の編成は16型で管楽器は楽譜通りの2管編成(withピッコロ&コントラ・ファゴット)。さて初めて目にするプレトニョフの指揮は、比較的抑制された動きでオーケストラに意図を簡潔に伝える棒。手や腕の動きはそれほど機敏ではないものの、やりたいことは的確に伝わる指揮だなあと印象。
実がぎっちりと凝縮された男性的な力強いサウンドで「タタタターン」と。きっぱりと音を切り間を作ってから再び「タタタターン」。この冒頭だけでも普通とは違うなあと明確に印象付けられます。主要動機の「タタタターン」とホルンやファゴット等で出てくる「タタタターンターンターン」、この二つの動機を明確に強調したうえで後におかれる間。メロディーの表情付けも入念で、ロシア風なほの暗い情念を感じさせます。隈取が濃い感じなのですが、音楽の流れは停滞しないのが不思議。第2楽章もアウフタクトに思いを込めて入念な表情を付けながら音楽が進んでいきます。低弦に推進力を与えて縦の線をあわせるというよりは勢いを重視した第3楽章、特定の動機を強調するやり方は後半2楽章も同様。ドイツよりもロシア的な雰囲気とプレトニョフの個性的な表現が印象的な演奏でしたが、後半2楽章の音楽の密度が前半ほど感じられませんでした。前半の密度が後半も維持できれば、個性的ながらも不思議な説得力のある演奏になったのではと。個人的な好みから言えば、もっとフレッシュな表現との対比が欲しかったなあと思います。
明後日はベートーヴェンの第7交響曲が演奏されますが、プレトニョフと東フィルはどんな演奏を聞かせてくれるのでしょうか・・・。
Comments
『運命』なるほど~、ロシア風ですね。
ホント、確かに始まりとおしまいの方では、
印象が違っていました。
”断然きっぱり”から”こぢんまり?”(笑)
今日のレポートも楽しみにしております。o(^v^)o
> 今日のレポートも楽しみにしております。o(^v^)o
昨日のがまだ出来てないんですが、今日のが先になりました(苦笑)。
mozart25さん
> たまには違った味を試すと、今までなんでもなかったことも、さらに味わいを深めるようです・・・
mozart25さんの感想拝見しました。「自信を持ってマーマレードソースを~」からの記述、まったくそのとおりですね。今日の7番は運命に比べるとずっとノーマルでしたが、自分の基準点を私も再確認できたように思います