えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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戸田弥生/飯守泰次郎/読響 名曲シリーズ シベリウス/ブラームス

先月末に手兵の東京シティ・フィルと大地の歌の好演を聞かせてくれた飯守泰次郎。今日は読響とのシベリウスとブラームスのプログラムを聞きに赤坂へ。
読売日本交響楽団 第469回 名曲シリーズ

1.シベリウス交響詩「フィンランディア」作品26
2.シベリウスヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
休憩
3.ブラームス交響曲第1番ハ短調作品68

ヴァイオリン戸田弥生(2)

飯守泰次郎指揮読売日本交響楽団
(コンサートマスター:藤原浜雄)

2005年8月29日 19:00 サントリーホール 大ホール
前半はシベリウスの作品をふたつ、まず最初は「フィンランディア」から。オーケストラはチェロ外側の通常配置、弦の編成は16型。冒頭の金管による開始から、豊かな響きを保ちつつも歯切れのよさと手応え十分の重量感で耳をひきつけます。金管から木管、そして弦楽へと受け継がれたまろやかな響きの統一感。基本的にはダイナミックな展開を中心に進めていく飯守泰次郎の棒に、読響がシンフォニックかつ調和のとれた響きで応えるという形。途中、木管で歌われるフィンランディア賛歌が瑞々しいこと。最初から充実の演奏でありました。

続いては戸田弥生をソリストに迎えたヴァイオリン協奏曲。オーケストラは1プルト減の14型。繊細で美しい響きの高弦に続いて、背筋のぴしっとしたぶれのない戸田弥生のヴァイオリンが耳をひきつけます。きらびやかではなく落ち着いた音色を武器に、全くといっていいほど迷いのない自信に満ちた音楽が展開。飯守泰次郎と読響もゴリゴリとした感じのない、調和の取れたまろやかな音色でソリストを支えます。丁々発止とやりあうのではなく、ソリストとオケの一体感が感じられる好演だったように思います。

プログラムの後半はブラームスの第1交響曲。オーケストラは再び16型へ増強。飯守泰次郎の振るブラームスを聞くのは今日がはじめて。第1楽章序奏から声高に叫ぶことのない充実したオルガンのような響きが実現。まろやかでボリューム豊かな中低弦とけれんのない美しい高弦を中心に、全体に調和の取れたまろやかかつ充実したサウンドが素晴らしい限り。飯守泰次郎のアプローチも第1楽章展開部最後でティンパニが叩く「タタタタン」のリズムを強調した以外は、外面的な迫力よりも内面からの充実に意を置いた音楽作りがなんとも言えない味わいを醸し出します。どこを取っても落ち着いてじっくりと聞ける、節度をもってしなやかに歌うブラームスは今時貴重なのかもしれないと思ったり。終楽章最後のコラールで再びオルガンのような響きを実現。飯守泰次郎の自然体な姿勢に読響が充分に応えた素晴らしいブラームスでした。

2001年におこなわれた東京シティ・フィルとのブラームス・ツィクルスは残念ながら聞くことは出来ませんでした。しかし、今日の演奏に接すると飯守泰次郎の振るブラームスは是非ともまた聞いてみたいものです。
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