ゲルハルト・オピッツ ピアニスト100 ベートーヴェン/シューマン
先月、チェツーエフを聞いた時に購入したのが今日のチケット。さいたま芸術劇場のピアニスト100、今月はゲルハルト・オピッツの登場。ベートーヴェンのディアベッリ変奏曲とシューマンの交響的練習曲という変奏曲2題のプログラムを聴きに与野本町へ。
彩の国さいたま芸術劇場 ピアニスト100 82/100 ゲルハルト・オピッツ恐らく、オピッツを演奏会で聞くのは初めて。いつもは空席の目立つこのホールも今日はほぼ満席(来月の小菅優も完売とか)。
1. ベートーヴェン : ディアベッリのワルツの主題による33の変奏曲ハ長調 作品120 休憩(20分) 2. シューマン : 交響的練習曲 作品13 (遺作変奏曲付き)
1. 主題 2. 練習曲1(変奏1) 3. 遺作変奏曲1 4. 練習曲2(変奏2) 5. 練習曲3 6. 遺作変奏曲3 7. 練習曲4(変奏3) 8. 練習曲5(変奏4) 9. 遺作変奏曲4 10. 練習曲6(変奏5) 11. 練習曲7(変奏6) 12. 練習曲8(変奏7) 13. 遺作変奏曲2 14. 練習曲9 15. 遺作変奏曲5 16. 練習曲10(変奏8) 17. 練習曲11(変奏9) 18. 練習曲12(終曲) アンコール 3. ブラームス : 幻想曲集 から 間奏曲ホ長調 作品116-4
ピアノ : ゲルハルト・オピッツ
2005年5月14日 16:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
まず(という言葉が似合いませんが)前半はベートーヴェンのディアベッリ変奏曲。実はこの曲、バッハのゴルトベルク変奏曲と並んでjosquinの大好きな曲のなかのひとつ。昔、アラウの演奏をCDで繰り返し聞いていました。
オピッツの弾くピアノは陽性かつよく溶け合った暖かい音色が魅力。魅力的な歌いまわしや楽譜の線が透けて見えるようなクリアさ等で聞かせる演奏ではなく、ダイナミクスや叙情とリズムの対比、そしてしっかりとした全体構成で聞かせる演奏。前半はその意図がいまひとつしっくりこなかったように聞こえました。しかし、曲が進むにつれて徐々にしっくりといくようになり、モーツァルトのドン・ジョヴァンニからメロディーが引用される第22変奏あたりまでくればもう万全。聞き応え十分の演奏を聞かせてくれました。音の遊びは控えめですが、曲に誠実に向き合った好演だったように思います。最初から噛み合っていればもっと素晴らしい演奏になったのではと思います。
後半はシューマンの交響的練習曲を遺作変奏を織り交ぜて。最初の主題提示の演奏を聴いて「あ、こっちのほうがずっといいじゃん(^^♪」と。前半よりは明るさを控えめにしてちょっとくすんだ味わいの溶け合った暖かいサウンドのなかから立ち上ってくるのは、まぎれもないシューマンの世界。フレーズやメロディの明滅が硬直感なしに自然に出てくる素晴らしさ。そして、終曲に向かって構築された道筋の確かなこと。見事なシューマンを堪能させてくれました。
アンコールはブラームスのインテルメッツォ作品116-4。全体の明瞭感を巧みに保ちながら、左手方向のメランコリックな感じが良く出ていました。他のブラームス作品も聴きたい・・・。
オピッツは何回かの来日に分けてベートーヴェンツィクルスを敢行するようですが、ブラームスやシューマンも是非とも聞かせて欲しいものです。
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