ワルシャワ室内歌劇場 魔笛 クシシツァ/シルヴァ
ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場オペラ 魔笛モーツァルトの楽しいオペラを理屈ぬきに安心して楽しめるすこぶる好感度の高い上演でした。小粒ながら粒が揃ったソリスト、合唱、オーケストラそして演出まで含めたアンサンブルの緊密さがとても印象的な出来栄えでした。
・ モーツァルト : 魔笛 全2幕
タミーノ : トマシュ・クシシツァ パパゲーノ : ゾリウシュ・マヘイ パミーナ : マルタ・ボベルスカ ザラストロ : ダリウシュ・グルスキ 夜の女王 : ガブリエーラ・カミンスカ 3人の次女 : ゾフィア・ヴィトコフスカ ミロスラーバ・トゥカルスカ ベアータ・バルダック 弁者(僧) : ズビグニェフ・デンプコ 3人の童子 : ウルシュラ・ヤンコフスカ アンナ・ニェジョーウカ ヨアンナ・マトラーシェック パパゲーナ : アグニェシュカ・コズウォフスカ モノスタートス : クシシシュトフ・クル 3人の僧 : ボグダン・シリーヴァ クシシュトフ・マホフスキ ズビグニェフ・デンプコ 護衛者(武士) : クシシュトフ・マホフスキ : ボグダン・シリーヴァ
ルベン・シルヴァ指揮 ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場管弦楽団 ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場合唱団
演出 : リシャルト・ペリット
2004年12月12日 13:00 東京文化会館 大ホール
ソリストはやや小粒ながらそれぞれの役割をきちんと果たした歌と演技。個々には「線の細い夜の女王もうちょっと頑張れ」「ザラストロに存在感が欲しいなあ」「パパゲーノちょっと声がかっこよすぎない?」等々の感想はありますが、重唱等での美しく練れたアンサンブルは聞き物で座付き歌手でのアンサンブルの長所が見事に出ていました。なかでもパミーナを歌ったマルタ・ボベルスカはバーバラ・ボニーを思わせる歌声と、よく練れた歌い口で今日一番の出来栄え。また、パパゲーノを歌ったゾリウシュ・マヘイは声が格好よすぎる気もしますが生き生きとした歌と演技で楽しませてくれました。
ルベン・シルヴァ指揮するオーケストラも個々の奏者の力量よりも、オケ全体のアンサンブルの良さが耳に残る好演。シルヴァの棒も歌手にぴったりとつけながら、不足する面をうまく補足して素晴らしいサポートぶり。アレグロのきびきびとした音楽の流れと、叙情的な部分のしっとりとした味わいのコントラストがとても好印象。夜の女王を歌ったガブリエーラ・カミンスカは彼の棒にかなり助けられたのではないでしょうか。
演出も簡素な舞台装置と照明で小道具と歌手の動きでオーソドックスに楽しめるもの。音楽や言葉と連動した歌手達の動きや、かぶりものの怪物達の動きはユーモラスで楽しい限り。夜の女王の登場場面等での効果音もPAに頼らず、大太鼓等を効果的に利用していたのがとても好ましく感じました。
ワルシャワ室内歌劇場、他の演目も聞いてみたくなるような素敵な上演でした。欲を言えば、もう少し小さな小屋で上演できるともっともっと楽しみが増すのではないかと思いました。
Comments
記事を読ませていただくと,なるほど小さなホールでの上演があっていそうですね。
私も以前,フィガロの結婚を,とても小さなホールで聴いたことがあります。舞台とオーケストラピット,聴衆との一体感があって,とても愉しい時をすごすことができました。
それにしても,えすどぅあさんは,ほぼ毎日,演奏会に行ってらっしゃるようですねぇ。羨ましい〜。
> 小さなホールでの上演があっていそうですね。
彼ら大きなホール向けの演奏をしていないので余計にそう思います。
> ほぼ毎日,演奏会に行ってらっしゃるようですねぇ。
休みの日はほぼ毎日行ってます(笑)。
やめられないとまらない・・・(古っ!)、てな感じでせっせと通ってます。