えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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アルミンク/新日本フィル トリフォニー定期 リーム/マーラー

今月はなんだか聴き較べ月間の様相。今日のメインは火曜日に聞いたばかり・・・。就任披露の3番に続いてアルミンク/新日本フィルのマーラー第2弾、第5交響曲を聴きに錦糸町へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 トリフォニー・シリーズ 第377回定期演奏会
1.リーム「出発」(1985)(日本初演)
2.マーラー交響曲第5番嬰ハ短調

クリスティアン・アルミンク指揮新日本フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:崔文洙)

2004年11月19日 19:15 すみだトリフォニーホール 大ホール
ホールに入って舞台を見るといつもとちょっと配置が違います。いつもの配置だとヴィオラが外側ですが今日はチェロが外側でかつコントラバスが山台に乗っている(いつもだとフラット)。コントラバスの件はプログラム誌にもちらっと載っていました。

1曲目はリームの「出発(Abkehr)」。リームの作品でも同じ「出発」と訳される曲があって、スペルは"Depart"で混声合唱と室内オケの曲だそうです。弦楽器のピアニッシモを主体にして、時折強烈なアクセントを加えつつ緊張感を漂わせた音楽。マーラーの第九交響曲の冒頭のリズムが現れるのが印象的。アルミンクと新日本フィルの演奏はその緊張感を失うことなく精緻な世界を描いておりました。

2曲目はマーラーの第5交響曲。ヴァイオリンを中心にしたホールに広がる品のある美しい響き、過度な思い入れを廃した節度ある歌心、そして全体を包む暖かさ。ユダヤ的な粘りとはほとんど無縁で、純音楽的なアプローチでこの曲の素顔をありのままに描いたよう。この曲に似つかわないような形容詞がよく似合う、アルミンクの個性が発揮された演奏でした。オーケストラもアルミンクの棒に良く応えて、終始安定した演奏を繰り広げていました。第1楽章のトランペット・ソロ(服部孝也)の安定した演奏。全体的にトランペットの音量を押さえ気味にして、オーケストラ全体の響きのバランスを形作っていたのも特徴的でした。ソリストの位置ではなく一列前のフルート横で吹いた、第3楽章の表現の多彩なホルン・ソロ(吉永雅人)の素晴らしさ。今日のホルンセクションは1番から6番まで終始安定していましたね。第4楽章はなめらかな絹ではなくて木綿の肌触りの美しいこと。終楽章も暖かい弦の音色と全体の調和が良く取れたオーケストラの響きと良好なアンサンブルが印象的でした。アルミンクの棒で聴くとこの曲から、民謡的なのどかな味わいが良く引き出されてくるのが面白いですね。聞き手によっては物足りなさを覚える向きもあるともいますが、個人的には今日のような美しいこの曲の演奏もいいもんだなあと思いました。

アルミンクのマーラーは来年の6月に「大地の歌」が予定されています。今日の第5交響曲よりもアルミンクの特徴が生きる曲だと思いますし、"ewig"を藤村実穂子が歌うのも非常に楽しみですね。
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