ヴォーカル・アンサンブル カペラ 定期演奏会 サルヴェの祈りII
今日もすっきりしない天気、結局すっきりとした晴れ間のないまま終わりそうな三連休。個人的には演奏会場に行ければよかったので影響はありませんでしたが・・・。さて、ここ1年くらいコンサートで配られるチラシで気になる存在だった声楽アンサンブル、ヴォーカル・アンサンブル カペラ。是非生音をと思っていたのですがようやく私のスケジュールと合って、教会でおこなわれる演奏会を聞きに目黒へ。
ヴォーカル・アンサンブル カペラ 2004年定期演奏会 サルヴェの祈りII 珠玉のマリア・モテット開演20分前から音楽監督の花井哲郎によるプログラムの解説がありました。グレゴリオ聖歌等のフレーズを実際に歌いながらの解説。実例が音で明示されると当然ながらわかりやすくなりますね。教会の前方やや左に大きな譜面台が置いてあります。その譜面台に定量記譜法で書かれた楽譜(写本のコピー)をみんなで見ながら、花井哲郎がいわばプレイング・マネージャーとして全体を統率しながら演奏されました。これは作曲された当時を踏襲したとのこと。このあたりの演奏に対する姿勢の詳細は、彼らのウェブサイトをご覧ください。
【聖母の挽歌】 1. 「神よ、わたしを救い出し」 Deus in adiutorium 2a. アンティフォナ「アヴェ・マリア」 Antiphona:Ave Maria 2b. 詩篇第110編「主は言われた」 Palsams 110 (Dixit Dominus) 2c. ジョスカン・デ・プレ : アヴェ・マリア…祝福された方 Ave Maria...benedicta 3a. アンティフォナ「わたしは園に下り」 Antiphona:Descendi in ortum meum 3b. 詩篇第113編「主の僕らよ賛美せよ」 Palsams 113 (Laudate pueri) 3c. ジョスカン・デ・プレ : わたしは園に下り Descendi in ortum meum 4a. アンティフォナ「いとも聡明なおとめ」 Antiphona:Virgo Prudentissima 4b. 詩篇第147編後半「エルサレムよ、主をほめたたえよ」 Palsams 147 (Lauda Jerusalem) 4c. ジョスカン・デ・プレ : いとも聡明なおとめ Virgo Prudentissima 5a. 小課 Capitulum 5b. 小答課 Responsorium breve 6. ジョスカン・デ・プレ : セクエンツィア「あなたは祝福された方」 Sequentia:Benedicta es a 6 7a. マニフィカトのアンティフォナ「なにもかも美しい方」 Antiphona ad Magnifcat 7b. ジョスカン・デ・プレ : 第4旋法のマニフィカト Magnificat quarti tini (奇数節はグレゴリア聖歌) 7c. マニフィカトのアンティフォナ「なにもかも美しい方」 Antiphona ad Magnifcat 8. 祈祷(キリエ、主の祈り、特定の祈り)、終了唱 Kyrie/Pater noster/Oratio/Benedicamus −休憩− 【サルヴェの祈り】 9. アンティフォナ「わたしの魂は溶けてしまいました」 Antiphona:Anima mea liquefacta est 10. ヨハンネス・オケゲム : サルヴェ・レジーナ(めでたし元后) Salve Regina (I) 11. 終了唱 Benedicamus 【作曲家達のための祈り】 12. ジョスカン・デ・プレ : 主の祈り/アヴェ・マリア Pater noster/Ave Maria 13. ロイゼ・コンペール : よいものすべてに満ちた方 Omnium bonorum plena 14. ピエール・ムリュ : 御母は花咲き Mater floreat −アンコール− 15. ジョスカン・デ・プレ : アヴェ・マリア…祝福された方 Ave Maria...benedicta
ヴォーカル・アンサンブル カペラ
superius : 花井尚美/本保尚子 altus/tenor : 青木洋也/及川豊/根岸一郎/望月寛之 bassus : 小酒井貴朗/花井哲郎(音楽監督)
2004年10月11日 16:00 聖アンセルモ・カトリック目黒教会
さてそんな彼らの演奏、いはやは素晴らしいですね。ノン・ヴィヴラートで力みのまったく感じられない響きの乗った軽い声、特に声が重なると古楽器演奏にも通ずる絹ごしの肌触りがなんともいえません。ソプラノとテノールのやや鼻にかかったような発声(これも当時に沿ったものなのでしょう)が面白いですね。純正律にのっとったハーモニーのはもり具合も倍音がたくさんのっていますし、教会の豊かな響きとあいまっていつまでも浸っていたい気分。監督の花井だけでなく他のメンバも体や手を自然に動かして、全員でアンサンブルを作っている感じがとてもいい雰囲気。そのアンサンブルからつむぎだされる音楽も、非常に流れが良いにもかかわらず言葉やフレーズの山谷が良く見える彫りの深さと抑揚の自然さが両立された演奏になっていました。
今日のプログラムは聖母マリアへの祈りにスポットを当てたもので。ジョスカン・デ・プレの作品を中心に前半は挽課、後半はサルヴェの祈りという典礼にほぼ即したもの。こういった典礼に即した形で演奏会を聴くのは初めてでしたが、作品の前後関係みたいなものが良くわかる興味深いものですね。全体を聴き終えて思うのは、やはりジョスカンは素晴らしい作曲家だなあと。あとオケゲムもね。コンペールとムリュはそれと比べると彼らの演奏をもってしても、並べてしまうとちょっと魅力が薄いかも。でも、プログラムの最後に置かれたムリュの作品は、題名の示す通り花が咲いたような明るさを持った曲で美味いプログラミングだなと感じました。
ヴォーカル・アンサンブル カペラはジョスカン・デ・プレの全宗教作品の演奏を計画しているようで、非常に楽しみです。今日の演奏会を聞いて、スケジュールが合う限り聴いていきたいなと思いました。
なお、今日と同じプログラムの演奏会が11月3日にカトリック由比ガ浜教会で予定されています。また、次の定期演奏会は来年の1月3日で今日と同じカトリック目黒教会で行われます(マショーのノートルダム・ミサ!、聴きたいけど帰省中で首都圏にいない(T_T))。詳しくは彼らのウェブサイトでご確認ください。
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