えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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松原/東混 定期演奏会 ブスト/小山/他

フィガロのあとホールを出ると雨風共に強く、駅につく頃には結構濡れた状態。こんな状況でもまっすぐ帰らずに上野へ。芸大のコジ(2日間でダ・ポンテ三部作!?)も考えたのですが奏楽堂は駅から遠いし当日券の有無も未調査だったので、久しぶりに東混定期を聞いてきました。
東京混声合唱団定期演奏会 第196回 儀式、遊び、伝説、労働、そして祈り 民族のうたに合唱のルーツを求めて

1.マデトヤ(ホラーティウス詩)非のないくらしぶりの(1929)
2.マデトヤ(オネルヴァ詩)古い修道院(1946)
3.マデトヤ(ヴオリネン詩)ひばりへ(1936)
4.トルミス(ヨアライド編詩)ペプサの冬(男声)(1984)
5.トルミス(レイノ詩)サンポが打ち出される(女声)(1997)
6.トルミスシニッカの歌(1991)
7.ブストアモル・ア・マル・ア・メ 愛のうた(2000/世界初演)
休憩
8.間宮芳生合唱のための12のインヴェンション 日本民謡による より (1969)
獅子舞(山梨県民謡)
まいまい(富山県民謡)
のよさ(長野県民謡)
でいらほん(東京都伊豆青ヶ島民謡)
9.小山清茂(草野心平詩)誕生祭(1961年委嘱作品)
アンコール
10.日本民謡(小山清茂編)花笠おどり

打楽器高橋明邦/円藤和之(5)

松原千振指揮東京混声合唱団

2004年10月9日 18:00 東京文化会館 小ホール
「このような天候のなか本当にありがとうございます」と曲間の松原千振のトークにあるとおり、台風のせいかお客さんの少ないこと。100人いなかったなあ。普段はこんなんじゃないことを祈りますが、こんなに客の入っていないコンサートもかなりひさしぶり。

今日のプログラムは何れも各国の伝統音楽に接点を持つ曲が集められたもの。フィンランドのマデトヤ、エストニアのトルミス、スペインのブスト、そして日本の間宮と小山。やはりしっくりきたのは後半の間宮と小山でしょうか。演奏者そして聞き手の血は争えないなと。間宮作品でも洋風の味付けが施された曲よりも、そのまま素材を生かした曲(獅子舞/のよさのほうが断然おもろい。メロディー的な要素よりも、メインの詩をつなぐようにおかれが擬音を使った表現の面白さが光る小山作品。声がどうだとかなんだとか気にならなくなる音世界とでも言いましょうか。間宮作品は高校生のときに合唱のためのコンポジション第1番の一部を歌ったこともあって、作品は違うもののなんだか懐かしい気分になりました。

前半は曲に対する練度がやや不足しているかなあと思える作品もありましたが、ヴォーカリーズによる世界初演曲をはじめとして面白く聞きました。マデトヤは他の2人に比べれば常套的な感じはしますが、その分素直に楽しめる作品達。トルミスはバラライカに擬した合唱とアコーディオンを擬したテノールソロとの対比が面白い「ペプサの冬」、金床と太鼓が加わって嫁とりに魔法の臼の作成過程を陽気に歌った「サンポが打ち出される」、2曲とは対照的にシリアスな「シニッカの歌」。

松原千振の指揮は今日のようなある意味やりたい放題できそうな曲でも、そんなことはせずに正攻法で曲に正対したもので好感が持てます。東混は男女共に低声は安定していて全体の枠組みがしっかりした印象。ただし、ソプラノの声に響きや艶が欲しいなあと思います。音程は合っているとは思うのですが、ややフラットに聞こえるところもなきにしもあらず。あとは全体の響きがもっと上に飛ぶとハーモニー感もぐっと増すかなあと。

終演後はすっかり雨も上がり、風も止んですんなり帰れました(笑)。
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