ドビュッシーSQ with クワルテット・エクセルシオ
ミヨーの二つの四重奏曲を同時に演奏し八重奏曲とさせる面白いアイデアの曲に興味を引かれて、ドビュッシー弦楽四重奏団の演奏会を聞きに上野へ。
ドビュッシー弦楽四重奏団演奏会 共演:クワルテット・エクセルシオまずは僅か24年の人生を送ったルクーの小品から。初めて耳にする曲ですが、味わいのあるいい曲ですね。そう思うのも深い哀愁と悲しみに満ちた曲を、内に秘めた熱っぽさを加えつつ丹念に紡いでいく彼らの演奏があるからでしょう。メンバの4人が対等に発言し、音を良く聞きあって音を合わせていくハーモニー感が抜群です。歌いすぎないセンスの良さとともに曲の性格を魅力的に表現していました。
1. ルクー : 弦楽四重奏のためのモルト・アダージョ 2. ラヴェル : 弦楽四重奏曲ヘ長調 休憩 3. ミヨー : 弦楽八重奏曲(弦楽四重奏曲第14番+第15番)作品291 4. ショスタコーヴィチ : 弦楽八重奏のための2つの小品作品11 アンコール 5. ショスタコーヴィチ : 弦楽八重奏のための2つの小品作品11 から スケルツォ
ドビュッシー弦楽四重奏団
第1ヴァイオリン : クリストフ・コレット 第2ヴァイオリン : アン・メニエル ヴィオラ : ヴァンサン・デュプレ チェロ : ヤニク・カリエル
クワルテット・エクセルシオ(3,4&5)
第1ヴァイオリン : 西野ゆか 第2ヴァイオリン : 山田百子 ヴィオラ : 吉田有紀子 チェロ : 大友肇
2004年9月26日 14:00 東京文化会館 小ホール
続いては有名なラヴェルのクワルテット。この曲でも彼らの音に対する感覚の鋭敏さとセンスのよさを充分に発揮された演奏。第1楽章の生き生きとした風情、第2楽章の色彩感のあるピッツィカートと中間部の弱音器を付けた柔らかな表現との対比、第3楽章の静謐な歌とセンスの良い色っぽさ、そして終楽章の踏み込みの鋭い表現。素晴らしい演奏でありました。今度は彼らのドビュッシーを聞いてみたいですね。
休憩後はお目当てのミヨーの八重奏曲。舞台左側にドビュッシーSQ、右側にエクセルシオのメンバが 1Vn-2Vn-Va-Vc-Vc-Va-2Vn-1Vn に並んで明確に左右分かれた形での演奏でした。もともとの四重奏曲も含めて初めて耳にしましたが、これは面白い。左右のクワルテットが調和したり、衝突したり、寄り添ったり。違う調性が左右で同時進行して生まれる音の不思議な面白さ。耳が慣れないとちと厳しい面もありますが、慣れてしまえばこっちのもの。エクセルシオの音色の美しさが一層増すともう少し響きが整理されて聞きやすかったかなあという気もしますが、充分楽しませてもらいました。機会があればもとの単独四重奏曲での演奏ときちんと比較して聞いて見たくなりました。
最後はショスタコーヴィチの八重奏曲。この曲では、D1Vn-D2Vn-E1Vn-E2Vn-DVa-EVa-DVc-EVc の並びで演奏(DはドビュッシーSQ、Eはエクセルシオ)されました。前奏曲でのソロにメロディーを弾かせ、寂寥感漂う風情はショスタコーヴィチらしいものでその感じがよく出ていました。クリストフ・コレットの情熱的なソロと山田百子の表情の濃いソロがとても印象的でした。対するスケルツォはこれもショスタコーヴィチらしい饒舌なスケルツォ。踏み込みとキレの良さが両立した見事な演奏でした。
前半四重奏、後半八重奏。こうして並べて聞くと八重奏になると一気にスケール感が増すのが良くわかります。ちょっとした室内オーケストラに比肩しますね。反面、練れたアンサンブルを実現するのは非常に難しいなとも思います(常設でないという意味で)。
ドビュッシー弦楽四重奏団は初めて耳にしましたが、力のある優れた団体と聞きました。次回来日時にはまた耳にしたいものです(もちろん、スケジュールが合えばですが(笑))。
Comments