私の今年のSKF最終日。昨日で終了という手もあったのですが、珍しい曲がプログラムに入っているので今日までいようかと。ハーモニー・ホールでのサティのソクラテスを含む、フランス・プログラムによるふれあいコンサートIIIです。
サイトウ・キネン・フェスティバル松本 ふれあいコンサートIII
1. | サティ | : | ソクラテス |
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I. | ソクラテスの肖像 |
II. | イリソス川の岸辺 |
III. | ソクラテスの死 |
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| | | INTERMISSION |
2. | ドビュッシー | : | 弦楽四重奏曲 |
テノール | : | ジャン=ポール・フーシェクール(1) |
ピアノ | : | 野平一郎(1) |
ストリング・クワルテットARCO(2) |
ヴァイオリン | : | 伊藤亮太郎/双紙正哉 |
ヴィオラ | : | 柳瀬省太 |
チェロ | : | 古川展生 |
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2004年9月3日 19:00 ザ・ハーモニー・ホール
最初はサティのソクラテスという作品は、私にとって初めて耳にする曲です。本来は4人の女声と小編成のオケによる作品のようですが、今日はテノールとピアノによる演奏。「ソクラテスの対話編」を基にした作品とのこと。終曲の「ソクラテスの死」での淡々としつつ情感あふれる曲想が特に魅力的でした。ヴォツェックで白痴役を好演したフーシェクールは非常に軽い声の持ち主。淡々とした曲を余計な装飾や力をいれずに、あくまで淡々とした語り口で歌っていきます。発声フォームの確かさ、フランス語のディクティションの美しさ、ピアニッシモ方向でのコントロールの効いた繊細さは見事でした。ピアノの野平一郎は軽い音で、フーシェクールの繊細な歌を壊さずにうまくサポートしていました。野平一郎って本当に守備範囲が広い演奏家だなあと改めて感じました。
後半は若手の弦楽四重奏団、ストリング・クァルテットARCOによるドビュッシーのクァルテット。このクァルテット、耳にするのは初めてです。雰囲気に流されない、非常に明晰で見通しの良いドビュッシーとなりました。4人が対等な立場をとり、確かなピッチとハーモニー感、楽譜を洗い直したような新鮮な感覚、停滞しない音楽の流れといい実に見事。他のレパートリーも是非聞いてみたくなりました。
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