ラヴォーチェ ルチア Aキャスト デヴィーア/ランザーニ/東フィル
昨日のBキャストに続き今日もルチア。Aキャストを聴きに今日も初台へ
ラヴォーチェ公演 ルチア当然のことながら何らかの形で舞台を引っ張る人が一人でもいると、舞台全体から受ける印象が随分と違うなあと改めて認識した公演でした。
ドニゼッティ:ルチア
ルチア : マリエッラ・デヴィーア エドガルド : マルセロ・アルバレス エンリーコ : レナート・ブルゾン ライモンド : カルロ・コロンバーラ アルトゥーロ : 中鉢聡 アリーザ : エレナ・ベルフィオーレ ノルマンノ : 樋口達哉
ステファノ・ランザーニ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 (コンサートマスター:荒井英治) 藤原歌劇団合唱部 (合唱指揮:及川貢)
演出 : ヴィンチェンツォ・グリゾストミ・トラヴァリーニ 美術/衣装 : アルフレード・トロイージ 装置 : 新国立劇場
2004年8月8日 15:00 新国立劇場 オペラ劇場
その舞台を牽引したのは誰あろうエドガルドを歌ったアルバレス。第1幕冒頭からこの面子にしてはいまいち生気に欠けるなあと思っていたのですが、彼が出てきたとたんに音楽の推進力が出てきて舞台が締まること。甘さと辛さの按配がちょうど良くてすこぶる魅力的な声、音楽の勢いと流れの両立、そして場面にあわせた音色の変化、思い切った感情表現、どれをとっても今「旬」といっていい充実。2幕2場後半の聴き応え十分の音楽は彼のおかげですし、3幕2場のアリアも抜群の出来。いやはやいいもん聞かせてもらいました。彼のマントヴァ公を生で聞きたくなりました(確か2001年に新国立劇場で聞いていますが今日ほどいいとは思わなかった)。
ルチアはデヴィーア。どの声域でもむらのない落ち着いた音色(さすがに低い音域は響きがもっと欲しいかな)とその声をコントロールする技術は一級品といっていいでしょう。そのコントロール力を使って丹念にルチアの心情を表現していたのが印象的。3幕の狂乱の場は技巧をひけらかして華やかに・・・、というよりはメロディアスに処理して叙情的とも言える味付けで、音の動きに感情をこめた素晴らしい歌唱でした。
ライモンドのコロンバーラはやや明るい声が特徴ですが、十字架をもつ役柄にふさわしい威厳をよくかもし出していて好感が持てました。
エンリーコはベテランのブルゾン。さすがに安定した表現力豊かな歌唱でしたが、ややフォームを崩し気味の歌い方と指揮者との齟齬(あえて全体の流れを無視しているような・・・)が気になりました。
ランザーニ指揮の東フィルは昨日同様美しい音色で全体を支えていました。アルバレスに触発されて昨日よりは締まっていて劇的な表現が聞かれたのが良かったと思います。
本当に今日はアルバレスにつきます(^^♪。もちろんデヴィーアも素晴らしかったけど。
昨日はカットされずに演奏された本来の3幕1場、今日はカット上演でした。もしかしたらBキャストだけの演奏だったかなあ。アルバレスとブルゾンの2人の丁々発止のやりとりをもっと聞いてみたかったような気もします・・・。
【8/14 追記】
3幕1場のカットは最終日だけだった模様、残念。
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