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コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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新国立劇場 ファルスタッフ ヴァイクル/エッティンガー/東フィル

josquinにとっては昨年のSKF以来のファルスタッフ、これで3プロダクション目となります。正直ヴァイクル目当てだったのですが、粒ぞろいの歌手達とそれをしっかりと支える指揮者とオケ。オーソドックスな演出とあいまって充実した上演となりました。
新国立劇場 2003/2004シーズン

・ヴェルディ:ファルスタッフ

ファルスタッフベルント・ヴァイクル
フォードウラディミール・チェルノフ
フェントンジョン・健・ヌッツォ
医師カイウスハインツ・ツェドニク
バルドルフォ中鉢聡
ピストーラ妻屋秀和
フォード夫人アリーチェスーザン・アンソニー
ナンネッタ半田美和子
クイックリー夫人アレクサンドリーナ・ミルチェーワ
ページ夫人メグ増田弥生

ダン・エッティンガー指揮東京フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:青木高志)
新国立劇場合唱団
(合唱指揮:三澤洋史)

演出:ジョナサン・ミラー

2004年6月27日 15:00 新国立劇場 オペラ劇場
ミラーの演出は2軸の回転する十字の壁で場の転換をおこない、M字状の壁で部屋を構成。部屋の中の道具は必要なものだけでシンプルな印象。3幕2場は巨木を数本たてていましたが、妖精の儀式のファンタジー感はやや薄め。歌手達への演技も自然な動きで好感が持てますし、笑いの要素もとって付けたようなものではなく、動作のなかから自然と出てくるものを拾い上げていて程よいセンスが感じられます。ファルスタッフの衣装もどちらかというとみすぼらしいもの。いざ出陣の時でも「あんまり変わってないじゃん」と思えるくらい。ファルスタッフを非常に人間くさいひとりのおっちゃんとして扱い、特別視をしないで身近に感じさせることに主眼を置いた演出ではなかったでしょうか。

エッティンガーの指揮は東京フィルから土台のしっかりした充実した音を引き出していました。かといって鈍重な音楽ではなくリズムや音の切れにも充分留意した音楽作りと、歌手の個性を生かした細やかな配慮が印象的な指揮でした。来シーズン「コジ・ファン・トゥッテ」で再び登場するのが楽しみ。今日聞いた印象では、オテロあたりを振らせるとジャストフィットしそうな気がします。

ファルスタッフのヴァイクルはさすがベテランというしかなく。声の伸びはいいし、高い声の輝き、低い声の響かせ方、ファルセットの切り替え、どれをとっても一級品。ミラーの演出の意図にはぴったりで、ことさら威厳とか風格を強調することのない等身大の自然な演技と歌唱が素晴らしかった。去年聞いたガヴァネッリとはまた違う味ですが楽しませてもらいました。

フォードのチェルノフは背筋のピント張った威厳の感じられる声でとてもかっこいい。ファルスタッフよりも伝統を重視するフォードにぴったりではなかったでしょうか。2幕のファルスタッフとのやりとりはほんとうにお見事でした。

フェントンはヌッツォ。2月の「スペインの時」はキャンセルでしたので、やっとのこと聞けました。フォーマルな歌い口と細身の声はフェントンにぴったりですが、もうすこし甘口でもよかったかもしれませんね。

ナンネッタの半田は良く練れた歌唱で、ヌッツォとの絡みの部分では彼を上回っていたかも。時折あるピアニッシモでの高い声の決め所も非常に美しい響きで素晴らしかった。

カイウスのツェドニクはベテランらしい押さえどころを心得た歌唱。バルドルフォの中鉢は道化的な役どころを好演。3幕の女装したあとの演技は可笑しかった。ピストーラの妻屋はとぼけた味をうまく出していました。

アリーチェのアンソニーは冒頭は響きの豊かさに欠けるところがありましたが、音楽が進むにつれて解消し。安心して聴けました。クイックリー夫人は女房達のリーダーにふさわしい存在感を示していました。メグの増田はなかなか深い味の良い持ち声をしています。今後が楽しみなメゾになりそうです。
歌手達のアンサンブルも個々の個性と精度を両立したもので、生き生きとした感じがとても良かったと思います。特に、2幕最後のアンサンブルは見事な出来栄えでした。3幕2場の合唱もハーモニーといい響きといい美しいものでした。 今日はヴァイクルの素晴らしさはもちろんですが、エッティンガーの指揮とチェルノフに出会えたのも大きな収穫でした。
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