アルミリアート/読響/福井敬 名曲シリーズ レオンカヴァッロ:道化師
先週のイタオペ序曲・間奏曲集でシンフォニックな演奏を聞かせてくれたアルミリアートと読響。今日はアルミリアートのオペラ指揮者としての本領が発揮されると思われる演奏会形式のオペラです。
読売日本交響楽団 第455回 名曲シリーズ演奏会形式ということで演出はまったくなく歌手は指揮者前、合唱は最後列という普通の舞台配置。
レオンカヴァッロ:歌劇「道化師」(演奏会形式)
カニオ/道化師 : 福井敬 ネッダ/コロンビーナ : 野田ヒロ子 トニオ/タッデーオ : 福島明也 ベッペ/アルレッキーノ : 小貫岩夫 シルヴィオ : 石崎秀和
マルコ・アルミリアート指揮 読売日本交響楽団 (コンサートマスター:デヴィッド・ノーラン) 藤原歌劇団合唱部 (合唱指揮:及川貢) 東京少年少女合唱隊 (児童合唱指揮:長谷川久恵)
2004年6月26日 18:00 サントリーホール 大ホール
アルミリアートは14型(コントラバスは7)のオケと結構な人数の合唱を存分に鳴らしていました。先週の東京芸術劇場では良い響きを引き出していましたが、今日はちょっとそれ裏目に出た格好でやや飽和気味。編成を減らすか、響きを整理して聞かせてくれてくれると良かったなと。特に歌手との音量バランスは考慮が必要ですね。このホールでゲネプロはやってないんでしょうね多分。全体の構成と歌手とのあわせは非常にいいだけにちょっと残念でした。
福井敬のカニオは安定したできばえで、こういったある意味哀れな役柄は彼の持ち声とマッチしていていいですね。「衣装を着けろ」のアリアも良かったと思います。
今日の最大の収穫はネッダの野田ヒロ子だったのではないでしょうか。声域を問わず均質な声を武器にネッダを好演していました。1幕ではもう少し大人気が欲しい気もしましたが、2幕の劇中劇でのコミカルさとういういしい感じと修羅場での劇的な表現のコントラストは見事でした。
福島明也のトニオはいやなやつをそのままストレートに表現していました。持ち声の明るさからくるいやらしさが好悪をやや分けるかもしれませんが、積極的な表現を目指していたのには好感が持てます。舞台上演では動きも出てくるので気にならないかも知れません。
シルヴィオの石崎秀和は調子が悪かったのか、音がきまらない。1幕のネッダとのシーンが緊張感に欠けてしまったのは残念でした。ベッペの小貫岩夫は持ち声を生かした好演でしたが、オケの響きに埋没気味でちょっと気の毒でした。
もしかしたら、24日の池袋のほうがバランスのいい響きが得られていたのかなあと思いつつ岐路に着きました。
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