えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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彩の国ブラームスプロジェクト 小山実稚恵と仲間たちX

彩の国さいたま芸術劇場の小山実稚恵を中心とした室内楽シリーズも10回目の今日で最終回。6回目以降は彩の国ブラームスプロジェクトの室内楽部門の一環として開催されてきました。てなわけで、今日はブラームスに浸りに与野本町へ。
彩の国ブラームス(室内楽)プロジェクト 小山実稚恵と仲間たちX(最終回)

1.ブラームスピアノ三重奏曲第2番ハ長調作品87
2.ブラームスクラリネット三重奏曲イ短調作品114
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3.ブラームスピアノ四重奏曲第3番ハ短調作品60
アンコール
4.ブラームスピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25 から 第4楽章

ピアノ小山実稚恵
ヴァイオリン堀米ゆず子(1,3&4)
ヴィオラ川本嘉子(3&4)
チェロ堤剛
クラリネットセルヴァドーレ・レーニ(2)

2005年3月26日 15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
まず最初は小山、堀米、堤でピアノ三重奏曲の第2番。冒頭から香気が立ち上ってきそうなブラームスらしいサウンドが魅力的。3人の牽引役は、やはり堀米。決して叙情に流されない思い切りの良い表現と大きなスケール感で先頭を切っていきます。そんな堀米を堤と小山は緊密で練れたアンサンブルと充実したサウンドで支えながら、3者が対等な存在感を持つ演奏に結び付けてたのはさすがです。曲の雰囲気を重視していた幹事で、もう少しきりっとした感じがあると更に良かったかなあ・・・(こういう曲なのかも知れませんが)。

続くは小山、レーニ、堤でブラームスの晩年に作曲されたクラリネット三重奏曲。クラリネットのレーニは1968年エストニア生まれで、現在は京都市響の首席奏者のポジションにあるひとだそう。小山のピアノと堤のチェロでレーニのクラリネットを優しく包み込むよう。3人の音が実に美しく溶け合っていて、曲の親密な味わいが良く出ていました。レーニは瑞々しい音色と実に素直な音楽性をもっていますね。クラリネットとチェロの対話を聞いていると、レーニが女性で堤がそれをやさしく支える男性のよう。レーニの演奏に存在感と深みが増してくると違った様子に聞こえるのかもしれませんが、今日のバランスもなかなか魅力的な演奏でした。

休憩の後は小山、堀米、川本そして堤でピアノ四重奏曲の第3番。ここでも全体を引っ張っているのはやっぱり堀米のヴァイオリン。トリオよりも曲のスケールが大きく、より堀米の特徴としっくり合いますね。堀米以外の3人も対等な立場で緊密なアンサンブルを聞かせていて、聞き応えのある充実した演奏でした。各人のソロも見事で、特に第3楽章冒頭での堤のチェロは素晴らしい演奏でした。

アンコールはピアノ四重奏曲第1番のフィナーレ、いやはやこれが凄かった。4人がまるで火の玉みたいに燃え上がった演奏といっても過言ではない程。4人が楽しみつつも丁々発止と触発し合って、前傾姿勢で突き進んでいく様が実にスリリングなこと。あちこちでぎしぎしと音を立てているけれども、その熱さは何にも変えがたい魅力がありました。ライブを聞く醍醐味を味あわせてくれる熱い演奏でした。
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