えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

<< アルゲリッチの室内楽、代替公演決定 | main | 新国立劇場 ルル その後・・・ >>

藤原歌劇団 椿姫 Aキャスト メイ/広上/東フィル

昨日に続いて今日も藤原歌劇団の椿姫。エヴァ・メイがヴィオレッタを歌うAキャストを聞きに渋谷へ。
藤原歌劇団 第15回ニューイヤー・スペシャルオペラ ラ・トラヴィアータ ~椿姫~

ヴェルディラ・トラヴィアータ

ヴィオレッタエヴァ・メイ
アルフレード佐野成宏
ジェルモン堀内康雄
フローラ鳥木弥生
ガストンパク・ヨハン
ドゥフォール三浦克次
ドビニー柿沼伸美
グランヴィル山田祥雄
アンニーナ竹村佳子
ジュゼッペ梅原光洋
使者雨谷善之
召使い坂本伸司

広上淳一指揮東京フィルハーモニー交響楽団
藤原歌劇団合唱部
(合唱指揮:及川貢)

バレエスターダンサーズ・バレエ団

演出ロレンツァ・コディニョーラ

2005年1月23日 15:00 Bunkamura オーチャードホール
ヴィオレッタのエヴァ・メイは佐藤美枝子とは対照的で、線は細いもの声に艶と明るさと華やかさがありますね。高い声の響きがやや薄めなのと、声量はちょっと控えめな感じ。「そはかのひとか~花から花へ」は技術的にも問題なく歌えているけれども、「花から花へ」は声のキャラクターからしてもっと喜びを前面に出して「そはかのひとか」との明確なコントラストがあると良かったかも(指揮者の意向なのかもしれないけど)。第2幕の父ジェルモンとのやり取りも、堀内の存在感に対してちょっと役不足気味かなあ。第3幕も美しい声を生かした歌ながらも、いまひとつ心に響かない(聞いている私の問題かもしれないけど)。全体的に見ても美しい声で美しい歌を歌っているのだけれども、いまひとつ存在感というか表現のインパクトが薄く感じました。

アルフレードは昨年11月に新国立劇場でも同役を歌った佐野成宏。今日は残念ながらちょっと声の調子が今ひとつだった様子。軽く歌っても響きが良くのっているのが彼の特徴だと思っているのだが、今日は気張らないと声がすっとでてこない感触。役柄自体は手の内に入っているだけにちょっと残念。また良いコンディションで聴きたいものです。

父ジェルモンは堀内康雄。第2幕の登場直後の第一声の表現の厳しさは、やはりこうでないとと膝をポンと(笑)。その厳しさと優しさとの表現のバランスは、昨日のチャン・ユサンと較べると一日の長(以上)のものがあります。包容力よりも厳しさを湛えた辛口の「プロヴァンスの陸と海」も素晴らしい歌唱でした。ひとつだけ気になったのは、ややピッチがうわずる傾向があったこと。あと、レナート・ブルゾンを下敷きにしたようなイメージをそこはかとなく感じたのは私だけでしょうか。

他のキャストは良い意味で癖というか個性のある人が揃った感触。第2幕第2場の最初の部分なんかはそれぞれの個性が良く出ていて面白く聴きました。ただ、アンサンブルの美しさという点では昨日のほうが良かったかな。グランヴィルの山田祥雄は何もかも甘すぎで、ピリッとした歌を望みたいものです。

広上淳一指揮する東京フィルは昨日に準ずる歌手のサポート重視の音楽作り。メイを肇とする歌手達との関係か今日の方がオケの音が華やか目に聞こえたのは気のせいか?かっちりとした外枠に対しての内枠の流動性(柔軟性かな)が欲しくなったのは、個々の歌手の技量が昨日よりあるからかもしれません。昨日は佐藤美枝子との組み合わせでマッチングが取れていたと思うのですが、今日はもっと広上の色を出しても問題なかったのではないでしょうか。合唱は昨日のほうが良かったかも。第1幕でやや曇った感じがしたのと、第2幕第2場で少し荒く感じました。

タイトルロール以外の歌い手の個々の技量や個性は今日の方が上回っているのだけれども、全体的な印象としてはなんとなく一体感に欠けた感じが否めませんでした。昨日の公演のほうが佐藤美枝子を軸にした統一感があったような気がします。

そういえば、今日はNHKによる映像収録が実施されていました。
らいぶ | comments (0) | trackbacks (0)

Comments

Comment Form

Trackbacks