私の勤務場所からは定時退社しても19時にサントリーホールにはたどりつけない。後半のみだと2ランク分チケットが安くなる日本フィルの「ビジネスマンの得券」はありがたい制度。交響曲に較べると演奏頻度の極端に少ないブルックナーのミサを目当てに六本木一丁目へ。
日本フィルハーモニー交響楽団 第566回 東京定期演奏会
・ | ブルックナー | : | ミサ曲第3番ヘ短調【ノヴァーク版】 |
ソプラノ | : | 野田ヒロ子 |
メゾ・ソプラノ | : | 森山京子 |
テノール | : | 吉田浩之 |
バリトン | : | 谷友博 |
広上淳一指揮 | 日本フィルハーモニー交響楽団 |
| (コンサートマスター:木野雅之) |
| 東京音楽大学(合唱) |
2004年12月3日 19:00 サントリーホール 大ホール
聞けなかった前半はヴァイオリンの米元響子を迎えてのパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番。
さていきなり後半のブルックナーのミサ第3番ですが、「いい曲なのになあ・・・」というのが偽らざる感想。広上はこの曲の宗教的な性格やブルックナーらしい深遠さより、美しい曲をがっちりとした構成感のもと見通しよくストレートに聞き手の耳に届けようというアプローチ。そのアプローチが徹底していると美しさの際立ついい演奏が聞けたのではないかと。しかし残念ながらそうはいかんかったなあと。まずは主役といっていい東京音楽大学がいまひとつ。全体的に発声が浅く声の深みに欠け、ハーモニーの安定しないところがちらほら。フレーズや言葉も平面的で立体感が欲しい(広上の指揮は見る限り立体的に指示しているようでした)。個々にみてもソプラノは高音のピッチが下がり気味、テノールもささくれ立った声が目立ちピッチの安定度もいまいち、バスは響きはまずまずだけれどもピッチが全体的に決まらない。でも、唯一アルトは安定した歌いぶりで安定していました。日本フィルは終止美しい音色で広上の棒に応えてはいましたが、合唱と共に音楽の張りが持続しないところがあってやや残念。ソリストもなんとなくしっくりこない感じですね。控えな音の選択でオケと合唱に寄り添った新山のオルガンは良かったと思います。合唱、オケ、ソリストのパズルがうまくはまらなかったように聞こえました。
私の合唱に対する要求が高すぎるのかもしれませんね。
9月に同じ広上/日本フィルで聞いた「千人」でも感じましたが、こういう曲はある程度質の高い合唱団で聴きたいなあという思いが募った演奏会でした。
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