バイチ/クライツベルク/ウィーン響 ベートーヴェン/メンデルスゾーン/ブラームス
TDK ORCHESTRA CONCERT 2004 ウィーン交響楽団 WIENER SYMPHONIKER無事当日券を手に入れて、蕎麦屋にて軽く腹ごしらえをしてホールへ。最後列にずらっと一列に並んだコントラバスが目に付きます。ヴァイオリンを左右に振った対向配置での演奏でした(前半14型、後半16型))。
1. ベートーヴェン : 「コリオラン」序曲作品62 2. メンデルスゾーン : ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64 アンコール 3. クライスラー : レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス 休憩 4. ブラームス : 交響曲第1番ハ短調作品68 アンコール 5. J.シュトラウスII : 円舞曲「春の声」
ヴァイオリン : リディア・バイチ(2&3)
ヤコブ・クライツベルク指揮 ウィーン交響楽団(1,2,4&5)
2004年11月3日 14:00 東京オペラシティ コンサートホール
プログラムの最初はコリオラン。暖かいけど凝縮感のあるアコード、それを断ち切るウィーン風の固めの音のティンパニ。オケを引っ張るというよりは自発性をひきだす土台をしっかりと構築したうえで、ドイツ的な音の溜めをアクセントとした音楽作りをするクライツベルクの棒。よく調和の取れたオケのサウンドが逆に緊迫感をやや殺いでいたようなきがしますが、これはこれで「あり」かなあと。
リディア・バイチをソリストにしたメンデルスゾーンのコンチェルトは、クライツベルクとオケのサポートが素晴らしい。やや細身で繊細なバイチのソロをスポイルせずに表情豊かにぴったりと寄り添い、優美な表情を見せるバイチと対照的にオケ単独のところでは男性的な味付けを聞かせ、バイチを生かしつつやや味の薄くなったりするところ等をオケの表現で補ったり・・・。単に「合わせました」ではない、「協奏」という言葉がぴったりの演奏でした。拍手に応えてのバイチのアンコールはクライスラー。レチタティーボ部分のよく歌いこんだ味の濃い表現と、スケルツォ・カプリスのキレ味の鋭い演奏ぶりとコントラストが良く出た好演でした。
後半はブラームスの第1交響曲。低弦を中心に土台をがっしりと作って、決して早まることなく一歩一歩着実にかつオケの自発性を生かしながら作り上げたブラームス。かといって、ブラームスの歌謡性をスポイルしているわけではなく、オケメンバの自発的な歌をうまく引き出していました。第2楽章のコンサートマスターの美しく折り目正しいソロ、終楽章のトロンボーンによるコラールの金属の色を感じさせる音色は素晴らしいものでした。何箇所か音楽に動きと流れが欲しいところもありましたが、ずっしりと手ごたえのあるブラームスでした。
アンコールは華やかかつ優美に演奏された春の声。これはもう完全に彼ら自身の音楽。理屈ぬきに愉しませてもらいました。
クライツベルクは初めて聞きましたが、なかなか正統的な音楽をする素性のいい指揮者ですね。まだ若い指揮者ですので、今後が楽しみといえるでしょう。
【11/4追記】
ブラームスは木管を倍管にしての演奏でした。
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