メータ/SWO/晋友会 東京国際音楽祭 マーラー:復活
メータのマーラーというと昨年のイスラエル・フィル来日公演の第6番「悲劇的」の演奏が思い出されます。終演後の客席は非常に盛り上がっていたのに、個人的にどうしてもピンとこなくて・・・。というわけで正直不安だったりするのですが・・・、先月のカルメンが素晴らしかった藤村実穂子の「赤いバラ」に期待して赤坂へ。
第6回東京国際音楽祭 盛田昭夫メモリアル ズービン・メータ指揮スーパーワールドオーケストラ 復活ホールに入ってステージを見回すと、コントラバスが左手に10台。(いすを数えて)ヴァイオリン対向配置で18型のオーケストラ編成ですな今日は。メータもこういう配置をするんだなあと妙な感心をしつつ自席へ。合唱はPブロック、ソリストは指揮者左隣の配置でした。
マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」
ソプラノ : ディアナ・ダムロウ メゾ・ソプラノ : 藤村実穂子
ズビン・メータ指揮 スーパー・ワールド・オーケストラ (Concertmaster:Streten Krstic) 晋友会合唱団 (合唱指揮:関屋晋)
2004年10月3日 15:00 サントリーホール 大ホール
終演後ブラヴォーの飛ぶなか、やはりメータはメータだったなあというのが偽らざる感想。良く言えば巨視的悪く言えば大掴み、細かいところにはこだわらずに曲のアウトラインをなぞっていく音楽作りがそのまま提示された演奏。かといって委細構わずに突き進む演奏でもなく、叙情的なところは適度に叙情的な表現だけど磨かれているわけでもない。アウフタクトや付点のリズムへの思い入れもさほど感じられず、でも正確さを追求しているわけでもない。マーラーの心の叫びを強調するのか、それともひらすら美しさを追求するのか、それとも別の何かを訴えるのか・・・。どうしても私の耳には中途半端に聞こえてしまって仕方ありませんでした。弦のポルタメントなんかいいセンスで弾かれているのになあ、それが生かされないのはもったいない。第1&2楽章はもっと魅力的な演奏になりえたと思うのだけど・・・。
それでも第4楽章から音楽が動き始めたかな。深く透明度の高い声でピリッと辛口に歌われた藤村実穂子の "O Roschen rot"。オケはもう少し歌手に対する配慮が欲しかったけれえども、藤村に絡んだオーボエ主席に座った若尾圭介のよくコントロールされたソロは素晴らしかった。そして、第5楽章の合唱が入ってきてからフィナーレまで。晋友会のびしっと決まったハーモニーで始められた "Aufer stehn, ..." もう少し深い声が欲しいかなとも思ったけれども素晴らしいピアニッシモ。そして深く辛口な藤村実穂子、それと対照的に叙情的に美しく歌うディアナ・ダムロウとの対比。そして、やっとメータの特徴のひとつであるスケール感が発揮されたフィナーレの高揚。でもこのフィナーレがなかったらと思うと・・・。
SWOは一人一人を聞くと非常にうまいんですが、オケとしてみると統一感に欠けるのはこういう七夕オケの仕方ないところかと。でも、もう少し整えられたのではと思うのは私だけでしょうか。
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