えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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藤原歌劇団 カルメン Aキャスト セメンチュク/チョン/フランス国立放送フィル

ダブルヘッダーの第2試合目は、チョン率いるフランス国立放送フィルがピットに入ることで話題の藤原歌劇団「カルメン」。Aキャストは主要キャストのうち3人がキャンセルで入れ替わったので、ちょっと不安です。
藤原歌劇団創立70周年記念 藤原歌劇団/オランジュ音楽祭共同制作 カルメン

ビゼー:カルメン 全4幕 (シェーダン版による オペラ・コミック・オリジナルバージョン)

カルメンエカテリーナ・セメンチュク
ドン・ホセヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ
エスカミーリョエルウィン・シュロット
ミカエラアンナリーザ・ラスパリョージ
モラレス三浦克次
スニガ妻屋秀和
フラスキータカン・ヘミョン
メルセデス鳥木弥生
ダンカイロ柴山昌宣
レメンダード小山陽二郎

チョン・ミョンフン指揮フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団
藤原歌劇団合唱部
(合唱指揮:佐藤正浩)
韓国国立オペラ合唱団
(合唱指揮:コ・ソンジン)
東京少年少女合唱隊
(児童合唱指揮:長谷川冴子/長谷川久恵)

演出ジュローム・サヴァリ

2004年9月18日 18:30 東京文化会館 大ホール
開演前に感じていたキャストの不安も、勢い良く始められた前奏曲と続く第1幕冒頭の弦楽のメロディーが奏された時点で払拭(まだ歌手が声を発していない時点で(笑))。チョン指揮するフランス国立放送フィルの奏でる音楽のすこぶる魅力的なこと。最悪オケだけ聞いていても充分満足できそうな予感。その予感は最後まで裏切られることなく、早めのテンポを基調に緩急自在なメリハリ付け、弦楽器を中心としてドラマや感情を余すところなく奏でる表現力、スーパーピアニッシモからフォルティッシモまで広大なダイナミクス、そして全体を貫く緊張感の持続。弦の単なる持続音でさえ何らかの表情を感じさせてくれるのには脱帽としか言いようがありません。せりふを最低限に省略した効果を音楽で明らかにしたチョンの統率力と劇的な味付け。そのスコップで根こそぎもっていかれそうな棒に、充分以上に根っこから応えたフランス国立放送フィルの基本性能と表現力高さも実に素晴らしい。歌手に対しての配慮も音量面、歌手との呼吸の面でも実に配慮の行き届いた棒でした。終幕でのカルメンがホセに殺された後の闘牛のファンファーレに悲しみを感じさせる、もっていきかたは特に新鮮に感じられました。今日の演奏を聞いてしまうと、チョンがアーティスティックアドバイザーを務める東フィルはまだ棒に振り回されてるなあと。

ソリスト達は図抜けた印象を与える人はいないものの、主役から脇役まで非常に粒が揃っている印象。そのなかでもミカエラのラスパリョージは芯の強い女性を声・演技共に、見事に表現していました。カルメンのセメンチュクはハバネラあたりでは調子がまだまだという感じでしたが、お縄になってからの声とキャラクターはカルメンに相応しいもの。惜しむらくは声量と存在感にやや欠けるのが残念(ラ・スコーラとの組み合わせという意味ではいいのかもしれません)。ホセのラ・スコーラは花の歌あたりから調子が出てきて、終幕では陰影のある歌唱で聞かせてくれました。エンジンのスタートがもうすこし早いともっと印象がよくなったのかもしれませんし、やや軽めの声は好悪を分けるかも。エスカミーリョのシュロットは押し出しの強い声と柔らかい声の使い分けがいまいちの感あり。持ち声とキャラクターは悪くないので、押し出しの強い声に絞って演じたほうが良かったのかも。

脇役陣では2幕のチョンの速いテンポにのった盗賊達のアンサンブルが見事。スニガの妻屋秀和は洒落たニュアンスを出そうとしているのですが、なんだか単なるいやらしいおっさんに聞こえてしまうのは何故だろう。モラレスの三浦克次は立派な声をうまく使った好演といえるでしょう。

合唱は大人も子供もオケに負けない充実した出来栄え。あえて言えば1幕の兵士の合唱でテンポを落としたチョンの棒に対して、音楽がやや停滞気味になってしまったのが惜しかった位でしょうか。大人に関しては韓国国立オペラ団合唱団の力が大きいのかもしれません。

ジュローム・サヴォリの演出は、舞台を可能な限り広く用いてオーソドックスな舞台で安心して音楽に浸れます。本当に細かなところまで神経が行き届いている演出といえましょう。また、子役のカップルを設定してアクセント的に使ってみたりしているのがいいですね。第1幕で牛(闘牛?)の死体を馬に引かせてみたり、第3幕への牧歌的な間奏曲で傷ついた兵士を見せていたのが特に印象に残りました。オランジュ音楽祭は野外での上演ですので若干のアレンジはしていたもの思われます(馬とかは張りぼてだったのだろうか・・・とか)。一度、映像を見てみたいものです。

明日は藤村実穂子がカルメンを演じるBキャストの公演に出向く予定です。
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藤原歌劇団 カルメン Bキャスト 藤村/チョン/フランス国立放送フィル | えすどぅあ | 2004/09/20 00:20
今日のBキャストは当初発表のキャストからの変更はエスカミーリョのシュロットのみ。今年4月のトーキョーリング「神々の黄昏」で素晴らしいヴァルトラウテを演じた藤村実穂子が、今日はタイトルロールを歌うカルメ...