ヴァンスカ/読響/小菅優 芸劇名曲 ラウタヴァーラ/モーツァルト/ニールセン
本業多忙につき先週はひとつもいけませんでした(悲)。10日にもなってようやく今月の一本目は2度のラハティ響との来日公演で、素晴らしいシベリウスを聞かせてくれたヴァンスカの振る読響を聞きに池袋へいってきました。
読売日本交響楽団 第108回 東京芸術劇場名曲シリーズヴァンスカの指揮に接したのは前述のラハティ響の来日公演。1度目は5番の原典版を含むシベリウス交響曲全曲チクルス、2度目はシベリウスのクレルボ交響曲。つまりシベリウスしか聞いてないわけで、特にニールセンを楽しみにしておりました。
1. ラウタヴァーラ : カントゥス・アークティクス −鳥とオーケストラのための協奏曲 2. モーツァルト : ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467 3. ショパン : 前奏曲変イ長調(遺作) (アンコール) <休憩> 4. ニールセン : 交響曲第4番作品29「不滅」
ピアノ : 小菅優(2&3)
オスモ・ヴァンスカ指揮 読売日本交響楽団 (コンサートマスター:デヴィッド・ノーラン)
2004年7月10日 18:00 東京芸術劇場 大ホール
最初はラウタヴァーラの録音テープによる鳥のさえずりと生のオケによる3楽章構成の曲。オケは鳥の声の背景になったり、掛け合いのようにさえずってみたり、そして雄大な歌をうたってみたり。鳥たちが集まる情景がストレートにイメージできる佳曲ですね。第1楽章の鳥の声と木管のやりとり、第2楽章のオケの静謐さ、そして第3楽章の弦を中心としたスケールの大きな歌が印象的でした。ヴァンスカの指揮も細かな指示と全体の雰囲気がうまく調和していて良かったと思います。鳥の声が生音だったら(現実には無理ですけどね(笑))最高だったのにと思ったのは私だけ?
2曲目は小菅優を迎えたモーツァルト。若いながらくっきりとした粒立ちのいい音よりも全体の響きを重視した演奏でした。音楽の流れもいいし自分の歌をもっていそうだし、なによりも音色の変化で表現しようとチャレンジしていたところが好印象でした。ヴァンスカとオケは基本的にはぴったりと付けていてよかったのですが、どちらかというとくっきりはっきり感が強いのでソリストとのギャップがややあったかも。第3楽章は、早めのテンポがスリリングで面白かったです。
後半はニールセンの不滅交響曲。第1部冒頭から噴出する勢いとエネルギー、第2部の木管のアンサンブルののどかさと美しさ、続く第3部の弦の歌のまた美しいこと、そして第4部のスケール感と迫力。本当に素晴らしい演奏でした。全体の構成感、膨張感のない引き締まった造形。非常に細かいところまで目が届いているにも関わらず、全体の流れとスケール感が失われないんですね。美しいピアニッシモ(もともと小編成のラハティにはかないませんが充分美しかった)からフォルティッシモも響きが保たれているし。ニールセンの作品はリズムが難しかったりや細かい動きがかなりあって大変な曲だと思うのですが、ヴァンスカの指揮のもと読響も素晴らしい演奏を繰り広げていました。
このニールセンの曲、第4部で2組のティンパニが掛け合いをする迫力のある部分があります。今日はティンパニを左右に振ってステレオ効果(スコアに指示があるのでしょうか?)を狙っていました。左側は菅原さん、右側は岡田さん(だったと思う)で2人の音の違いが面白かったです。ベテランの菅原さんの方が音に芯があって切れ味抜群、岡田さんはオケとよく調和するやややわらかめの音。こういう形で聴くと違いがよーくわかりますね。
生音欠乏症(笑)に陥りかけていたjosquinにとって、渇きを癒すに充分過ぎる素晴らしい演奏会でした。よかったよかった(爆)。
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