ル・サージュ&ブラレイ PIANO スーパーデュオ
すみだトリフォニー名物の一粒で二度おいしい、ソロ(今回はデュオだが)と協奏曲が1日で楽しめる好企画。バックを固めるのはフランチャイズオケの新日本フィルなので水準は確保される筈。今回はフランスの2人のピアニスト、ル・サージュとブラレイの登場。
エリック・ル・サージュ&フランク・ブラレイ PIANO スーパーデュオプーランクの2台のピアノの作品を外枠に配して、フランスに関わる作品を並べたプログラムはセンスがいいですなあ。
1. プーランク : 2台のピアノのためのソナタ 2. ドビュッシー(ラヴェル編) : 「夜想曲」より 雲 祭 3. ガーシュウィン : パリのアメリカ人 - Intermission - 4. ドビュッシー : 交響詩「海」 5. プーランク : 2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 - Encore - 6. プーランク : 2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 第3楽章
ピアノ : エリック・ル・サージュ(1,2,3,5&6) フランク・ブラレイ(1,2,3,5&6)
ステファン・ドヌーヴ指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団(4,5&6) (コンサートマスター:崔文洙)
2004年6月20日 15:00 すみだトリフォニーホール 大ホール
前半はデュオ。まずはプーランクから。作曲家のぱりっとした音とけだるい雰囲気の対照がお見事。2人の息もぴったりで齟齬がまったくないのに関心。おそらく、主導は年下のブラレイで、年上のル・サージュがあわせるという構図かなと思いますが、本当によくよーく聴けばの話で2人の同質感はかなりのもの。
2曲目のラヴェル編のドビュッシーは、ラヴェルの編曲が素晴らしい。2台ピアノというと結構音が厚ぼったくなってしまうのですが、ラヴェルの編曲はそんなことはまったくなくてドビュッシーの繊細なオーケストレーションをうまく移行していたように聴きました。その繊細さを充分生かした二人の演奏も素晴らしいものでした。
3曲目はガーシュウィン。これはセンスがとてもよろしい演奏。クラクションとかのがやがやした雰囲気は、アレンジのせいか薄まってしまっていました。しかし、2人のセンスといいノリは「アメリカ人」よりも「パリの」を重視したもの。これも愉しく聴きました。
休憩後はドヌーヴの指揮で「海」。この指揮者、昨年新日本フィルでフォーレのレクイエムを演奏したのを聞いたことがあります。独特の雰囲気をかもし出す面白い指揮者だなあと思ってました。今日の海も、ストレートに演奏するのではなくフレーズの歌わせ方にこだわりをみせておりました。でもそのこだわりが全体の印象に寄与していたかというと・・・ちょっと違うなあと。練習時間も短い筈なので、リハーサルでのオケとの意思疎通がもっとはかれたら違った印象の個性的な演奏に聞こえたかもしれません。
最後はプーランクの2台のための協奏曲。この指揮者を含めた3者でレコーディングもしているレパートリー。1楽章の音の切れ味、2楽章のデュオだけの部分の明るさと弦が入ってくるところの陰影、そしれ終楽章のノリとキレのいいこと。オケ共々、いい演奏でした本当に。アンコールで終楽章をもう一度演奏してくれましたが、これがオケもピアノも本編よりもノリノリ(笑)。いやはや楽しかったですわ、ほんまに。
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