井上道義/新日本フィル サントリー定期 メシアン:トゥーランガリラ交響曲
放送等で部分的には聴いていたことがあっても(N響アワーのテーマも、今はこの曲の第5楽章)、今日のメインであるトゥーランガリラ交響曲を「きちんと」聞くのは初めて。当然、生で聴くのもお初。でもって、生のオンド・マルトノも初。
新日本フィルハーモニー交響楽団 サントリーホール・シリーズ 第371回定期演奏会前半はピアノとオンド・マルトノのための4つの小品。メシアンの未亡人イヴォンヌ・ロリオがメシアンの死後、残されたスケッチの中から断片を選んで再構成したものだそう。曲は鳥の歌等のメシアンの特徴が良く現れていて、親しみやすい作品でした。トゥーランガリラの前菜としては丁度いい感じ。
1. メシアン : 「未刊の音楽帖」 オンドマルトノとピアノのための4つの作品(日本初演) * 2. メシアン : トゥーランガリラ交響曲
オンド・マルトノ : ハラダタカシ(1&2) ピアノ : 木村かをり(1&2)
井上道義指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団(2) (コンサートマスター:崔文洙)
2004年6月18日 19:15 サントリーホール 大ホール
後半はメインのトゥーランガリラ交響曲。舞台上のオケの配置がいつもとかなり違うのが目を惹きます。セカンド・ヴァイオリン主席の戸松さんの日記によると「これがベストと考えた配置(by井上道義)」なんだそうです。
指揮者の左にピアノその左奥にチェレスタ&打楽器群、右にはオンド・マルトノ。オンドの右奥に木管群、そのさらに右奥に金管群。オンドの正面後ろにヴィオラ、その奥にセカンド・ヴァイオリン、その左にファースト・ヴァイオリン。舞台一番奥に一列にコントラバス、その前にチェロ。弦楽器を中央に集めて響きをまとめ、ピアノの近くに鍵盤楽器や打楽器を集めアンサンブル向上を図り、そして金管も正面からの直接音ではなく右横から柔らかな感触を狙ったという意図でしょうか。
その工夫を凝らした配置が功を奏したのか、非常にまとまった響きがオケから引き出されていました。欲を言えばもうすこし弦に艶っぽさがあると、妖しさが増してよかったかもしれません。
井上道義の指揮はこの曲を十八番にしているようで、ミッチー・ダンスが随所に・・・(笑)。この曲で踊りながら振る指揮者って彼くらいじゃなかろうか・・・。しかし、つむぎだされる音楽は非常にバランスの取れたもので、いろんな要素をバランスよく提示してくれたように思います。他の演奏を聞いていないので確かなことはいえませんが、ある意味スタンダードな演奏と言えるものだったのではないでしょうか。オケもアンサンブルの精度、切れ味共に良好で難易度の高いこの曲を充分にこなしていました。
特に、第6楽章「愛の眠りの園」でのピアノの鳥の鳴き声とからむオンド・マルトノの紡ぐ歌は非常に美しいものでした。
このトゥーランガリラ交響曲、20世紀に作曲された曲の中でも演奏頻度の高い曲のひとつでしょう。スタンダード・レパートリーといっても過言ではないかなと。そんなことを思わせる充実&安定した演奏でした。
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