えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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アルディッティ弦楽四重奏団+アーヴィン・アルディッティ

久しぶりにアルディッティSQを聞きに飯田橋へ。
アルディッティ弦楽四重奏団+アーヴィン・アルディッティ

1.ノーノ「断片=静寂、ディオティマへ」(1980)
- 休憩 -
2.ゲレーロヴァイオリン独奏のための「ザイン VI」(1995)
3.シャリーノヴァイオリン独奏のための「6つのカプリッチョ」(1976)
Iヴィヴァーチェ
IIアンダンテ
IIIアッサイ・アジタート
IVヴォルービレ
Vプレスト
VIコン・ブリオ
- 休憩 -
4.ラッヘンマン弦楽四重奏曲第3番「GRIDO」(2000-01 日本初演)

アルディッティ弦楽四重奏団(1&4)
ヴァイオリン:アーヴィン・アルディッティ(2&3)

2004年6月6日 14:00 トッパン・ホール
アルディッティSQを聞くのは、オペラシティでのコンポージアム2000でのアルディッティ弦楽四重奏団の20世紀マラソン以来。20世紀以降の作品ばかりを集めて約1時間のコンサートを4回という、凄まじい公演。最後までほとんど疲れもみせずに驚異的な集中力で弾ききった彼らにはほとほと感心したもの。

今日はこのクワルテットの第1ヴァイオリンかつリーダーである、アーヴィン・アルディッティのソロを真ん中に挟んだプログラム。

まずはノーノから。曲名が示すとおり、さまざまな音の断片と沈黙が交互に繰り返される音楽。ホールの暗騒音が聞こてくる程、息をするのもはばかられるような緊張感。静寂のもたらす効果を最大限生かした曲を、約35分くらいでしたでしょうか素晴らしい集中力で聞かせてくれました。でも、こんなんばかりだと聞くほうもしんどいなあと。

続くアルディッティのソロ。はじめはスペインのゲレーロの作品。ヴァイオリンのG線を主体とする低音を中心にして組み立てられたていて、ノーノとは打って変わって荒々しいとも言えるエネルギーが表出された音楽とでもいえましょうか。細かなリズムとパッセージをものともせずにぐいぐいと弾き進むアルディッティの演奏は、曲のもつエネルギーを充分表現していたと思います。

ソロの2曲目はシャリーノのカプリッチョ。ほぼ、全編ハーモニクスの嵐。1曲毎に決まった音形を執拗に追求した感じで、終曲はそれまでの音形のオンパレード。これも息をつく暇のない高難易度の曲を、小気味良く演奏していくんですな彼は。カプリッチョという曲名に恥じない演奏、普通はこうはいかないでしょう多分(そんなことを考える余裕はないはずですよこの曲)。チャーミングさをも感じさせてくれるんだから、すごいとしか言いようがないですな。

最後はラッヘンマンの日本初演曲。プログラムによるとGRIDOとは「叫び」を意味するイタリア語だそう。最初のノーノよりは緊張感を強いる曲ではないものの、楽音というよりはノイズ(これが叫びなのかなあ・・・)と言ってもいい特殊奏法を駆使している割には耳には優しいけどそれなりに聞くほうも集中力を必要とする曲かと。演奏はこれも見事というしかなく、特殊奏法にしろ集中力にしろ一級品。作曲家いわく「新しい音楽に対して開かれた精神の自由な領域を求める内的欲求は抑圧されている。そうした状況に反応して書いたのだ。」と。「抑圧された叫び」なんでしょうねおそらく。そういうどこか抑圧された感じが素直に伝わってくるのは演奏が優れている証拠でしょう。

しかし、こういう曲ばかりを涼しげに弾くんですからやはりすごい人達ですね彼ら。この人達のベートーヴェンとかって聞いて見たい気も(怖いもの見たさ?)。

今日はNHKが映像収録をしておりました。
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