えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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ルガンスキー ピアノ・リサイタル ピアニスト100 72/100

さいたま芸術劇場の音楽系のメイン企画といっていいピアニスト100も72人目。今回はルガンスキーです。
彩の国さいたま芸術劇場 ピアニスト100 72/100 ニコライ・ルガンスキー ピアノ・リサイタル

1.モーツァルト幻想曲ハ短調K.475
2.プロコフィエフピアノソナタ第6番イ長調作品82「戦争ソナタ」
(休憩)
3.ラフマニノフ幻想的小品集作品3
4.スクリャービン12の練習曲作品8 より
1.嬰ハ長調
2.嬰へ短調
4.ロ長調
5.ホ長調
7.変ロ短調
10.変ニ長調
11.変ロ短調
12.嬰ニ短調「悲愴」
(アンコール)
5.ドビュッシー2つのアラベスク より 第1番
6.ラフマニノフ前奏曲ト短調作品23-5
7.ショパンワルツ嬰ハ短調作品64-2
8.メンデルスゾーン(ラフマニノフ編)劇付随音楽「真夏の夜の夢」 より スケルツォ

ピアノ:ニコライ・ルガンスキー

2004年5月29日 16:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
ルガンスキーは1972年モスクワ生まれというからまだ30代前半。チャイコフスキーコンクールで1位なしの2位で物議をかもしたらしい(私はよく覚えてない・・・)。モスクワ音楽院でドレンスキーのアシスタントもしているそう。

現在、ピアニスト100の音楽監督の中村紘子がプログラムに「モスクワ音楽院を相撲部屋のシステムに例えたことがあります」と書いている。それとは直接関係はないけど、ルガンスキーのピアノを聞いて「足腰のしっかりとした土台をもって弾いているピアニストだな」と。足の裏が土俵に吸い付いているような相撲取りさん(いまは具体的に醜名を思いつかないけど)とか、野球で言えば松井のどっしりとした打席での構えみたいな。そのうえに指のテクニックもまったく危なげがないのだから鬼に金棒。音もどの音域でもしっかりと身と重さがあってなかなかのもの。それでもって余計なはったりをかましたりしないであくまでオーソドックスに弾く。

モーツァルトはあまりにも足が地に付きすぎているような気が・・・。もう少し軽さと流れが欲しかったかな。

次のプロコフィエフからが本領発揮。プロコフィエフの戦争ソナタなんか、普通途中でよれたりするもんだけどまったくそんな気配すらない。がんがん叩いても音が汚れないし、音楽が崩れない。どんなところでもびくともしない土台。全体の響きと細部のクリアさのバランスも丁度いい按配、まったくもってお見事。欲を言えば叙情的なところでの音色の多彩さがもうちょっとあるともっと良かったかと。

ラフマニノフもしっかりとした土台の上に、ラフマニノフらしい叙情性とメランコリックさが自然に出ていました。スクリャービンとて第1曲の柔らかな風合いの出だしから、前2者との音色の違いを示していました。スクリャービン初期の作品ですが、後の神秘主義の芽があちこちに聞かれますね。それをルガンスキーはとても自然に表出していたと思います。

アンコールは4曲も。最初は意外にもドビュッシーでしたが、やわらかい風合いとすっきりとした響きが好感のもてる好演。ラフマニノフとショパンも正統的な演奏でしたし、最後のメンデルスゾーンは見事というしかなく。オケ演奏よりも早いテンポでありながら、細部まで生き生きとした表情がとても素晴らしい演奏でした。

まったくもって正統的な音楽作りをするピアニストですね彼。今後の成熟が楽しみなピアニストといえるかも知れません。
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