えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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ツィンマーマン ヴァイオリン・リサイタル ベートーヴェン/ブゾーニ/バッハ/ブラームス

午後、仕事で都内へ。予定通り仕事が終了したので、ついでに何か聞いて帰ろうかなあと。勝どき(古典SQ)とどっちにしようかと考えた末、飛び入りでツィンマーマンを聞きに四谷へ。
フランク・ペーター・ツィンマーマン ヴァイオリン・リサイタル

1.ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調作品24
2.ブゾーニヴァイオリン・ソナタ第2番ホ短調作品36a
休憩
3.J.S.バッハヴァイオリン・ソナタ第4番ハ短調BWV1017
4.ブラームスヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調作品108
アンコール
5.ウェーベルン4つの小品作品9
6.J.S.バッハヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ短調BWV1018 から 第3楽章

ヴァイオリンフランク・ペーター・ツィンマーマン
ピアノエンリコ・パーチェ

2004年11月10日 19:00 紀尾井ホール
早めにホールへ着き当日券売り場に並ぶ。ふたを開けてみると、当日券は僅か数枚(開演直前にもう少し出たのかもしれません)でしたが無事ゲット。ツィンマーマンを生で聴くのは初めてかもしれません。CDや放送等で聴く彼の演奏は、硬派でストイックな印象が残っています。

まずはベートーヴェンのスプリングソナタから。早めのテンポでするすると流れるよう始まりましたが、基本テンポを崩さずに音楽のフォルムをきちんと保っているの印象的。特に、両端楽章で切れ味の鋭い踏み込んだ表現が聴かれるのですが、テンポを恣意的に動かすことがないので音楽の流れが停滞しないんですね。第2楽章もパーチェのピアノ共々美しい出来栄えだし、第3楽章のリズムの面白さも素直に出る(ここだけは、ちょっと遊びが欲しい気もします)。持ち前の実の詰まった美音を「どうだ」とばかりに振りまかないのも好印象。ヴァイオリンとピアノの主役交代も自然で、音楽上でのお互いの役割をよく意識した演奏でした。

続いてはブゾーニの第2ソナタ。多分始めて聴く曲ですが、イタリア風なところとドイツ風なところが入り混じった曲と聴きました。単一楽章の曲ですがいくつかの部分からなっていて、その部分部分のキャラクターの違いが明確に表された演奏でした。ダイナミックで饒舌な部分の切れ味と、ロマンティックな部分の表出のコントラストが良く出ていたように思います。いろいろな演奏家で聴いてみたくなりました。

後半はバッハのソナタから。ぽつぽつとつぶやくような第1楽章を代表に、淡々とかつほのかにロマン性を感じるバッハ。単にあっさりした演奏にならないのは、彼の弾く憂いの感じられるヴァイオリンの音色故でしょう。

最後はブラームスの第3ソナタ。端正な全体のフォルムと踏み込みのよさが相まって、熱のこもった充実した演奏でした。熱といっても赤い炎ではなくて青白い炎、でもどこかで冷静な目が光っているのが彼らしいところでしょう。彼の持つ音色がブラームスの音楽によくマッチしていたように思います。

アンコールは凝縮された世界を鮮やかに描き出したウェーベルン、淡々としながら思いが音によくのっていたバッハでした。

エンリコ・パーチェのピアノは非常に粒の揃った明るめの美しい音で、ツィンマーマンにぴったりと寄り添って息の合った演奏を繰り広げていました。特に、ベートーヴェンではピアノが主導権を握るところでツィンマーマンと同等の存在感を示していたように聞きました。公演チラシの紹介によればソロ活動もしているようですので、機会があれば聴いてみたいものです。

最初にツィンマーマンの印象を「硬派」「ストイック」と書きましたが、実際に聴いてみるとそうでもないのかなあと。多分彼の音楽の表現の幅が広がってきているんでしょうね、私の聞きかたの変化じゃなくて。
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