えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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スロヴァキア国立歌劇場 椿姫 グレギーナ/ドヴォルスキー/現田

グレギーナがヴィオレッタ役を歌うということで話題の公演。もともと小回りの聞く歌い手ではないだけに、不安と期待を半分ずつ心に秘めて(おおげさ?)関内へ。
スロヴァキア国立歌劇場 椿姫

ヴェルディ:椿姫 全3幕

ヴィオレッタ・ヴァレリーマリア・グレギーナ
アルフレード・ジェルモンぺテル・ドヴォルスキー
ジョルジョ・ジェルモンヴラジミール・フメロ
フローラ・ベルヴォアテレジーナ・クルジリアコヴァ
アンニーナアンナ・クリューコヴァ
ガストン子爵ヤン・バブヤク
ドゥフォール男爵パヴォル・レメナー
ドビニー公爵ユライ・ぺテル
医師グランヴィルマルティン・マラホフスキー

現田茂夫指揮スロヴァキア国立歌劇場管弦楽団
スロヴァキア国立歌劇場合唱団

演出マリアン・フドフスキー

2004年10月31日 15:00 神奈川県民ホール 大ホール
グレギーナ(ヴィオレッタ)が伸びのある声、あふれんばかりの豊かな声量とそれをコントロールする技術を生かした、いわば骨太なヴィオレッタを好演。感情をたっぷりと込めた「そはかのひとか」、そして声量とパワーを武器にして骨太に喜びを歌う花から花へ。第2幕の父ジェルモンとのやりとりの聞き応え、第3幕のアリアの声量を抑えたなかでの表現の見事さ。コロラトゥーラの技巧とか細かいところの小回りについては万全といえないところもあるものの、全体を大きくとらえた歌唱の魅力がそれを上回りました。「グレギーナの椿姫」と明確に言ってよい彼女の個性を刻印した演奏でした。

グレギーナの相手をするドヴォルスキー(アルフレード)がとても残念な出来。不調なのか衰えなのか・・・、するっと出ない声を無理に出そうとしているのがありありとわかって聞いていてつらい。声の輝きもないし、ピッチはぶら下がり気味、高音も叫んでるような有様。そんな具合なのでグレギーナとの2重唱も、グレギーナはいいのですがドヴォルスキーがぴたっと寄り添わない・・・。これならば途中で変わっても良かったし、最初から座付きのテナーを起用したほうが良かったのに・・・。

フメロ(父ジェルモン)は落ち着いた声と演技で安定した出来栄え、安心して耳を傾けられます。父ジェルモンとしたはもう少し威厳があっても良いとは思います(先日のブルゾンと比べたらいかんですね(笑))。

現田茂夫の指揮するオーケストラはまずまずといったところでしょうか。安全運転なのか、そういう狙いなのかはわからないのですが音楽がやや重めの印象。もう少し流れと動きが欲しいところです。舞台との呼吸が最初会わないところが聞かれましたが、幕を追うごとに改善されてきました。現田は全体の和を重んじるタイプの指揮者だと思いますので、結果的にそうなったのかなあとは思いますが・・・。先週振った座付きの指揮者ラスティスラフ・ストゥールはどうだったんでしょう、ちょっと気になります。オケ自体は弦のピッチがやや甘いのがちょっと残念なところ。1幕や3幕の前奏曲は歌心だけではなくびしっとピッチが決まって欲しいものです。

演出は比較的簡素な舞台装置と照明をうまく利用し、演技付けもオーソドックスなもの。音楽を邪魔せずに安心して鑑賞できる演出でした。

全体的にはやはりグレギーナが図抜けていて、一人舞台の格好。あとはアルフレードさえよければ全体が締まって、印象も違ったのではと思うのですが・・・。
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