秋山和慶/東響 定期 ヘンツェ:裏切られた海
5月の東響定期の帰りに買った新潮文庫版「午後の曳航」。結局しおりは24頁に・・・、第二章までしか読めませんでした・・・(笑)。
東京交響楽団 第516回 定期演奏会 十二音からの脱却この作品、私は未聴ですがアルブレヒト指揮の読響で日本語版が上演されています。2年続けて上演されるのも珍しいことではないでしょうか。
H.W.ヘンツェ : 楽劇「裏切られた海」(ドイツ語オリジナル版 演奏会形式) 第1部「夏」 第2部「冬」
黒田房子 : マリー・ニルソン(Sop) 黒田登(三号) : ピーター・マーシュ(Ten) 塚崎竜二 : クラウディオ・オテッリ(Bar) 一号 : 大久保光哉(Bar) 二号 : ダニエル・ブベック(C-Ten) 四号 : 星野聡(Bar) 五号 : 黒木純(Bas) 船員仲間 : 土崎譲(Ten)
秋山和慶指揮 東京交響楽団 (コンサートマスター:大谷康子)
演出 : 実装寺昭雄 絵 : 中山尚子
2004年6月19日 18:00 サントリーホール 大ホール
「夏」と「冬」の二部構成は原作のまま。第1部1〜8景、第2部9〜14景を間奏曲で切れ目なくつなぎながら音楽は進みます。各景は原作の章にそれほどとらわれずに、原作の流れを損なわない程度に選択された様子(何せ読んでないので・・・)。音楽は耳にも比較的優しいし、なんといっても筋がつかみやすいのが何より。
私自身、三島由紀夫の熱心な読み手ではないし、この作品も前述のとおりほんの少ししか読んでない。でも、ちょっと読んだだけだけど、平易だけど優しくて不思議な香りのある文体のイメージとはちょっと違う感じがしました。言葉の問題やらいろいろあるんでしょうけど。
秋山和慶の東響はいつもながらの手堅い演奏で、作品を素直に演奏していました。あまりにも実直すぎる嫌いはあるかも。
主役の3人は役に合ったキャラクターでいずれも好演でした。よく伸びる声と日本人的な繊細さを感じさせてくれた黒田房子役のニルソン、体は大きかったけど声は細身でちょっと非弱イメージがぴったりだた黒田登役のマーシュ、そして塚崎竜二役のオテッリは力強さが出ていました。
一号の大久保光哉は表現力はいいのですが、やや背伸びした感じのイメージになってしまうのがやや損してるかなあ。2号のブベックはもう少し高い声の安定感が欲しかったし、カウンターテナーのキャラクターを前面にだしても良かったのかも。
演出は実装寺昭雄。照明とオルガン前につるされたスクリーンに中山尚子のオリジナル絵画を映写するもの。その絵画がなかなか意味深。特に第2部、塚崎と少年グループの交わらない関係を表現していて興味深いモノでした。
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